2019.08.01

柴崎岳、岡崎慎司が戦うスペイン2部は、
天国と地獄が隣り合わせ

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Quality Sport Images/AFLO

 たとえば、乾貴士が復帰したエイバルは、長年、2部で健闘していたクラブだった。2部時代のクラブ年間予算は200万ユーロ(2億6000万円)に満たなかった。しかし、昇格した年に1800万ユーロ(約23億円)に大幅アップ。ほぼ10倍になったが、現在は25倍の5000万ユーロ(約65億円)にも達する。ちなみに2部時代、5000人の収容人数だったスタジアムは改修され、現在7000人を超えている。

 1部と2部では天地ほどの差があるのだ。

 それでも、各国の代表クラスの選手がスペイン2部に挑戦の場を求めるのはなぜか。それは、1部という天国がすぐ隣にあるからと言われる。「1年苦しんでも、チーム、もしくは個人で1部昇格を」という現実的な夢を見られる。たとえ1部に上がれなくても、欧州全体のマーケットで評価を得られる可能性も高い。ヘタフェのトーゴ代表DFジェネ・ダコナムは、20代前半にスペイン2部で2シーズンにわたってプレー。その後、ベルギー1部のシント・トロイデンで活躍し、1部ヘタフェで定位置を確保した。

 もちろん、競争は甘くはない。一攫千金を狙った実力者がそろう。当然、その戦いは修羅場となる。

 2部22チーム中、リーグ戦1、2位は自動昇格。3~6位で昇格プレーオフを行ない、1チームが昇格を果たす。柴崎が入ったデポルは昨シーズン、6位でプレーオフに進出。決勝でリーグ戦5位だったマジョルカに逆転負けした。

 そこで今シーズンは、名将の誉れ高いフアン・アントニオ・アンケラ監督を招聘する。2009-10シーズン、アンケラは2部Bにいたアルコルコンを率い、スペイン国王杯でレアル・マドリードを撃破。その後は2部昇格も成し遂げ、1部昇格プレーオフも戦った。イタリアの名将カルロ・アンチェロッティをもじって”アンケロッティ”の異名をとる。

 昨シーズン、6位に入ったチームの主力は、ベネズエラ代表FWクリスティアン・サントス、メッシ二世の異名をとったアルゼンチン人ドリブラー、フェデリコ・カルタビア、そしてキャプテンのアレハンドロ・ベルガンティニョスの3人。そこに加わるMF柴崎、コートジボワール人FWママドゥ・コネ、ギリシャ代表DFバシリオス・ランプロプーロスがプラスアルファをもたらせるか。プレシーズンマッチ、ファブリル(デポルのセカンドチーム)との初戦は2-0で勝利した。