主力不在でもかなりの出来栄え。
CL優勝に向けてマンCの陣営は整った

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 試合後、グアルディオラ監督が「相手のプレスのかけ方はわかっていたので、今日はホールディング・ミッドフィルダー(ボランチ)を2枚にする決断を下した」と振り返ったように、この試合のシティは4−2−3−1を採用。4−3−3を基本布陣とするなかで、オプションの布陣を使うことによって相手のプレスをかわす術(すべ)をしっかり用意していた。

 前半9分。前からプレスをかけてくる横浜FMに対し、一度GKブラボにボールを下げたマンチェスター・Cは、GKから右CBジョン・ストーンズにボールをつなぐと、ストーンズから中央でフリーになったケヴィン・デ・ブライネに速い縦パスが入る。すると、デ・ブライネは素早く右ウイングのベルナルド・シウバに縦パスを送り、一気に相手の背後を突く攻撃からチャンスを構築した。

 惜しくもベルナルド・シウバからのクロスはFWレロイ・サネに合わなかったが、それはこの日のチームとしての狙いを見事に体現したシーンだった。

 そして18分に生まれた先制ゴールのシーンでは、それとは異なる方法でプレスをかわし、チャンスを作った。それまで時折見せていたGKブラボからのロングフィードによって、ディフェンスラインの背後を一気に突くロングカウンターである。

 そのボールを受けたベルナルド・シウバのトラップとボールキープによるタメ、その間にスペースに走りこんだデ・ブライネのビジョンと、その後のドリブルとシュートの精度。チーム戦術のみならず、そこに高い個人能力が加わったことで、あっという間にゴールネットを揺らした見事なシーンだった。

「ボックス内で決められるシティと、決められない我々の差が出た」とは、試合後のアンジェ・ポステコグルー監督(横浜FM)のコメントだが、目下プレミアリーグ2連覇中のマンチェスター・Cの強さは、世界屈指の名監督が構築する精密なチーム戦術のみならず、高い個人能力を持つワールドクラスの選手たちの存在によって成り立っていることがあらためて証明された格好となった。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る