チェルシーが抱える最急務課題。
「ポスト・アザール」は見つかったか

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 実際、60分間プレーしたこの試合でも存在感を発揮。持ち味でもあるスピード豊かなドリブルからチャンスを作ったり、自らシュートを狙ったりと、新生チェルシーの攻撃の核となりうるだけの実力を証明して見せた。少なくとも、ウィリアン、ペドロを脅かす逸材であることは間違いない。

 残る不安材料はフィニッシャーの駒だ。オリヴィエ・ジルー、ミシー・バチュアイでシーズンを乗り切れるとは到底思えず、若手の底上げを含めて1トップの出来不出来が今シーズンのチェルシーの行方を大きく左右することになるはずだ。

 そして、最大のカギを握るのが、クラブのレジェンドであるランパード監督の手腕になる。ここまでのチーム作りを見るかぎり、独自の戦術を貫くサッリ前監督、あるいはその前に指揮を執ったアントニオ・コンテ(現インテル監督)と違い、まだ確固たるコンセプトが確立されていない。

 来日前のプレシーズンマッチでは中盤をひし形にした4−3−1−2を採用したこともあったが、基本的には4−2−3−1と4−3−3の併用が濃厚。現役時代にランパードが多くの影響を受けたジョゼ・モウリーニョのサッカーをイメージするとわかりやすい。サッリやコンテのようにひとつのやり方を貫くのではなく、状況に応じてシステムを使い分け、相手のよさを消しながら勝利を追求するサッカーになりそうだ。

 果たして、ランパード新監督は長期政権を実現できるのか、それとも短命で終わるのか。日本でのプレシーズンマッチ2試合を終えたチェルシーは、帰国してから3試合をこなし、いよいよ8月12日に予定されるマンチェスター・ユナイテッドとのプレミアリーグ開幕戦に挑む。

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