補強禁止のチェルシーに漂う小粒感。
ランパードの手腕で復活なるか

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 すると、そのシーズンには年間勝ち点95ポイントを記録して50年ぶりのリーグ優勝を果たしたほか、リーグカップも制して二冠達成。そこが、自他ともに認めるビッグクラブとしての歴史のスタート地点となった。

 そこからプレミアリーグ優勝5回、FAカップ優勝5回、リーグカップ優勝3回、そして2011−2012シーズンにはチャンピオンズリーグ初優勝の偉業を成し遂げ、ヨーロッパリーグでも昨シーズンも含めて2度優勝を経験した。

 この輝かしき15年間で指揮を執った監督も豪華絢爛。ルイス・フェリペ・スコラーリ、フース・ヒディンク、カルロ・アンチェロッティ、アンドレ・ビラス・ボアス、アントニオ・コンテ、そしてモウリーニョは2度監督を務めた。いずれも、その時代においては旬な人物に数えられた屈指の名将たちである。

 もちろん、この間にピッチを彩った選手も華やかだった。フェルナンド・トーレス、ディディエ・ドログバ、エルナン・クレスポ、アンドリー・シェフチェンコ、アリエン・ロッベン、クロード・マケレレ、ミヒャエル・バラック、マイケル・エッシェン、ペトル・チェフ......。

 そして、これらワールドクラスがひしめく多国籍スター軍団を統率し、チームの大黒柱として君臨していたのが、ランパード現監督であり、ジョン・テリーだった。彼らこそがこの黄金期を象徴するレジェンドであり、真のリーダーだったことに疑いの余地はない。

 0−0で迎えた後半、ランパード監督はダブルボランチをそのまま残しつつ、それ以外のポジションで大幅な入れ替えを行なった。ピッチに登場したのは、ロス・バークリー、エメルソン、ダヴィデ・ザッパコスタ、アンドレアス・クリステンセン、オリヴィエ・ジルーという面々だった。

 確かにハイクオリティな選手であることは間違いない。だが、チームの決め手となるようなビッグネームではないことは明らかである。

「現在は補強禁止処分中(※)なので、選手ひとりひとりをしっかり評価していかなければならない」とは、試合後のランパード監督のコメントだが、そこには苦しい台所事情が透けて見える。

※18歳未満の選手の国際移籍に関する規定に違反したとして、今年2月にFIFAの規律委員会がチェルシーに補強禁止の処分を言い渡した。2019年夏と2020年冬の移籍市場で新規の選手登録が禁じられ、チェルシーが次に新たな選手を獲得できるのは2020年夏となる。

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