久保建英に想定以上の好評価。現地記者が明かすレアルの内部事情 (2ページ目)

  • ミゲル・アンヘル・ララ(スペイン紙『マルカ』記者)●文 text by Miguel Angel Lara)
  • 江間慎一郎●翻訳 translation by Ema Shinichiro

 ベテランたちで構成されたチームも数多く所属する、セミプロ扱いの2部Bは、度を超えた激しいプレーが横行し、なおかつアウェーのピッチコンディションは劣悪だ。ペレス会長のグループは、久保が日本代表として臨んだコパ・アメリカでも十分に通用するプレーを見せたことで、わざわざ過酷な環境に身を置く必要性を感じていない。

 その一方でクラブ内には、久保を予定どおりカスティージャでプレーさせるべき、今季から同チームを率いるラウール・ゴンサレス監督の側で学ばせるべき、と声を挙げるグループも存在する。こちらの主張は、久保がまだ成長途上であり、適切なプロセスを踏ませるためには自クラブにとどめたほうが良い、という考えに基づいている。つまりトップチームのスターになれる器の選手を、無責任にも他クラブに預けることに反対しているわけだ。

 こちらのグループには下部組織のコーチングスタッフたちも含まれているが、彼らは久保が当初考えられていたよりも完成度の高い選手であったことを認めつつも、フィジカル面をはじめとして、まだまだ向上できる部分が多く残されていることを指摘。そのためにリーガ1部という、すぐにでも結果を求められる強烈なプレッシャーにさらされる場所ではなく、自クラブで責任を持って成長を促すことこそが最善と説いている。

 また、レアル・マドリードの生ける伝説であるラウールもこちらのグループの一人で、カスティージャを2部に昇格させるという目標を果たすためにも、久保を自チームのエースに据えることを希望している。

 久保が今季どこでプレーするかについて、結論が導き出されるのはこれからだ。もちろん、トップチームのジネディーヌ・ジダン監督が、バイエルン、アーセナル、アトレティコ・マドリードらとのプレシーズンマッチをこなしていきながら固めていく考えも、大きな重みを持つことになる。

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