7割の人が復帰に残酷なNO。なのにバルサがネイマールを欲する理由 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Christian Pondella/Getty Images

 その証拠に、PSGはスポーツディレクターのレオナルドが、レアル・マドリード、マンチェスター・ユナイテッドに売り込みをかけている。だが、色よい返事は得られていない。"物件"として、癖が強すぎるのだ。

<相手を挑発するために股抜きを仕掛け、一方で自分がされると怒って引き倒す。優等生ではないどころか、夜遊びを断ち切れず、不摂生な生活がケガにもつながっている。その言動は周りにも悪影響を及ぼす>

 ネイマールはすでにそんな悪評を背負っている。レアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督はこの点を憂慮し、フロレンティーノ・ペレス会長に「決して獲得しないように」と、念を押したと言われる。

 にもかかわらず、バルセロナが交渉に乗り出したのは、ネイマールの"実力"を求めているからだ。

 ネイマールの技術レベルの高さは言うまでもない。自ら仕掛け、ゴールまで持ち込むことができる。バルサ在籍当時は、リオネル・メッシ、ルイス・スアレスと高次元で融合。「MSN」というトリオは、欧州を震え上がらせた。

 さらに付加価値として、ネイマールは人気面でも傑出している。客を呼べるし、スポンサーを集められる。嫌われ者である一方、世界中で関心が高い。たとえば、海外ツアーではチケットを売れるし、それに連なるスポンサーも取りやすくなる。単純にユニフォームやグッズの世界的販売促進につながる。いまだにサッカー界では、メッシ、クリスティアーノ・ロナウドの次に出てくるのは彼の名前だ。

 サッカーは愛憎劇でもある。憎まれる選手は、それだけ知名度も高い。その点でネイマールは、悪役であろうと極めて重要なキャストと言える。バルサが用意したと言われる移籍金は1億7000万ユーロ(約190億円)。もしくはフィリペ・コウチーニョ+サムエル・ウムティティとのトレードなど、さまざまな"条件"が取り沙汰されている。いずれにせよ相当な出費にはなるが、ビジネス面で見た場合、十分にもとが取れる。

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