2019.07.05

「逆境に強い」ペルーがチリも零封。
守護神が散々な出来から覚醒した

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 コパ・アメリカ準決勝の第1試合、ブラジル対アルゼンチンの一戦は「スーペル・クラシコ」として大きな注目を集めた。だが、第2試合のペルー対チリも、「クラシコ・デル・パシフィコ(太平洋クラシコ)」と呼ばれる伝統のライバル対決だ。

チリの猛攻をストップし続けたペルーのGKガジェセ 試合当日のブラジル紙を開いてみても、さまざまな表現で太平洋クラシコのことが紹介されていた。

「19世紀後半に戦火を交えた遺恨は、太平洋海域の領有権を巡る紛争などで現代にも残っている」「ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイに次ぐ南米の実力国を争う対決として、昔から火花を散らしてきた」「ラテン・アメリカ太平洋岸の王者を決める一戦」

 両国の対戦は、チリが40勝14分22敗と大きくリードしている。

 チリにとって今回のコパ・アメリカは、2018年ワールドカップ出場を逃した悔しさを晴らす場だった。

 地元開催の2015年大会、アメリカで開催された2016年のコパ・アメリカ・センテナリオ(100周年大会)を2年続けて優勝し、2017年のコンフェデレーションズカップでも準優勝。勢いに乗るチリは、ロシア・ワールドカップで世界制覇を企んでいた。だが、地域予選で敗れてしまった。

 また、昨年10月の親善試合ではペルーに0-3で敗北。今回の直接対決では、その雪辱も晴らしたかった。

 そのペルーは近年、調子がいい。コパ・アメリカでは2011年、2015年と連続で3位。2016年のセンテナリオでは上位進出こそならなかったが、グループリーグではブラジルを1-0で下している。そして2018年には、ワールドカップに36年ぶりの出場も果たした。

 それでも、今回のコパ・アメリカのグループリーグでブラジルに0-5と完敗した傷跡は深い。ペルーのリカルド・ガレカ監督は「うちのチームは逆境に強い」とリベンジに胸を秘めて、この太平洋クラシコに臨んできた。

 8分、チリは左サイドの崩しからチャルレス・アランギス(レバークーゼン)がフリーになるビッグチャンスを生かせず、試合はペルーのペースで進んだ。試合会場となったグレミオ・アレーナはピッチ状況が悪く、チリはボールの処理に四苦八苦しているようだった。また、鋭いペルーのプレッシングに、チリは1対1のデュエルでも劣勢となった。