2019.07.04

サッカーの「日常風景」になったVAR。露呈した弱点と今後の課題は

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倉敷 同じ基準で裁いてくれたら、選手はそれほどジャッジに不信感はもたないものです。しかし、同じアクシデントだと思えるケースでVARが使われたり、使われなかったりしたら不満でしょう。同じファールがあったら、同じようにジャッジするべきですが、VARの時代にそれは可能でしょうか。

中山 以前であれば、裁量権を持った主審がジャッジして、公平か不公平かというよりも、むしろ試合をうまく進行できているかという点が、その主審の評価につながりました。そこには、ホームアドバンテージというサッカーの面白さのひとつもありました。

 でも、VARを導入したことをきっかけに、いろいろなものが細かくなりすぎて、主審の裁量権がどんどん失われてしまっている気がします。それで物事が解決するのであればいいですけど、サッカーというスポーツの特性からすると、どうしても主審が主観によって判断する部分は残ってしまいますからね。

倉敷 FIFAもUEFAも、頭のいい人を総動員して解決策を考えるべきです。いずれは1〜2秒で正しい判定ができる技術が生まれると確信していますが、それはまだ未来の話。今はまだ中途半端なテクノロジーだと思います。とりあえずはお金がかかってもゴールラインテクノロジーの導入だけを進めるべきだったと思います。

中山 そうですね。VARによって判定の精度は上がったとは思いますが、それによって、倉敷さんがおっしゃっていた情熱というものが失われてしまうのだとしたら、一度立ち止まってよく考えてみることも必要なのかもしれません。

 人間は、機械に100%を求めてしまいます。相手が人間であれば過ちを認めることはできますけど、機械には寛容になれない。100%を求めるから機械を使うわけですから。でも、VARは中途半端なテクノロジーで、人間が機械を使っているだけなので、100%は求められない。判断するのはVAR担当であり、主審です。それが前提である以上、人間が決めるという原点に回帰するべきなのかもしれませんね。

倉敷 サッカーは、今後どのようにテクノロジーと付き合っていくのか? 難しい問題ですね。

 一方、分析に関するテクノロジーの導入は、サッカーの進化に大きく寄与していると思いますが小澤さん、いかがでしょうか? この傾向はさらに強まるでしょうか?