スペイン、ドイツの凋落なんてありえない。
育成・強化の充実は抜群だ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 もちろん、継続的に強化をしたからといって、毎年のようにシャビやイニエスタが輩出されるわけではない。短期的には浮き沈みがある。今大会のスペインにも、大会MVPに選ばれたMFファビアン・ルイスをはじめ、能力の高い選手はいたが、過去この大会を制したときのチームに比べると、全体的な小粒感は否めなかった。

 まして、勝負は時の運。どんなに周到な準備をしたつもりでも、常に結果が保証されるわけでもない。

 しかし、だからこそ、見た目のわかりやすい成果に一喜一憂することなく、一貫した継続的な強化を続けることが必要なのだろう。

 優勝したスペインのルイス・デラフエンテ監督が語る。

「数日間休み、優勝を喜んだら、自分の仕事のことだけに集中したい。彼らは(4年前の)U-19に続き、ヨーロッパチャンピオンになった輝かしい世代だが、まだ五輪という非常に重要な役目も残っている。東京五輪では、スペインにとって歴史的チャンスがあると考えている」

 かつてのワールドカップ優勝国が、その凋落ぶりを指摘する声を封じ、復活の狼煙を上げる――。東京五輪は、そんな機会になるのかもしれない。

 スペインもドイツも、育成・強化の充実ぶりに変わりはなく、決して弱くなどなってはいない。それを実感できた今大会だった。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る