今季欧州CL総括。次のサイクルに入って覇権を握るクラブはどこか?

  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

小澤 強度の高いリバプールのサッカーはシーズンの終盤に疲労、ケガ人が出てしまうという問題があります。常に緊張の糸を緩められないサッカーで、それを避けるためには、今季以上にボールを握ったり、中盤でじっくりゲームメイクする時間がほしいと感じます。個人的には、前線3人にプラスアルファできるレベルの戦力を加えたうえで、とくにインサイドハーフの補強が必要と思います。ボールコントロールしながらハードワークもできるタイプの選手がベストでしょう。

 いずれにしても、今季はプレミアで1敗しかしなかったにもかかわらず優勝できなかったことを考えても、シティを上回るためには夏の補強は絶対に必要だと思います。

倉敷 今季はモハメド・サラーが執拗にマークされながら、サディオ・マネが大きく成長し結果を残したシーズンでした。ただ、同様の進化が来季も生まれる保証はありませんし、マネも来季は厳しいマークを受けるでしょう。今季は故障が多かったロベルト・フィルミーノにも一抹の不安はあります。そう考えると攻撃陣に関しては今季がピークだったようにも思えますが。

小澤 決勝戦のパフォーマンスにも出てしまいましたが、長いシーズンをあれだけ同じ3トップで戦い続けてしまうと、シーズンの終盤に疲労が露呈してしまうのも仕方ないですよね。

倉敷 中山さんもおっしゃいましたが、クロップが引き抜かれる心配もあります。リバプールよりも大きなお金を持っているチームがドイツにあります。

中山 ドイツ人にとって一番名誉な仕事ですからね。それが今夏ではないとしても、いずれはバイエルンの監督になるでしょうね。

倉敷 見ていて楽しいリバプールなので、もう少しこのサイクルが続いて欲しいですね。では続いてスパーズのサイクルについて。小澤さんはどう見ていますか?

小澤 今季のスパーズは、もともと補強をせずにシーズンを戦っていたので、来季以降の伸びしろはかなり残されていると思います。もちろんマウリシオ・ポチェッティーノ監督が残るという前提ですが、夏の補強次第でまだまだ強くなるのではないでしょうか。お金を使わずに決勝まで勝ち進んだことで資金は豊富にあるでしょうから、選手層に厚みを持って臨める来季は大いに期待できると楽観的に見ています。

倉敷 近年はエネルギーを大量に使うサッカーの時代でスパーズもそのカテゴリーに入ると思いますが、選手の消耗という点での不安はどうですか。たとえばモウリーニョ時代のチェルシーは、選手が次々と疲弊するのでフレッシュな選手の獲得をフロントに要請し続けていました。来季のポチェッティーノは新しい選手を買ってもらえそうですが、インもアウトもどんな補強になるのか気になりますね。

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