久保建英をスペイン人記者が分析「バルサ出身者の特徴を感じる」 (3ページ目)

  • ハビ・シジェス(スペイン紙『as』記者)●文 text by Javi Silles
  • 江間慎一郎●翻訳 translation by Ema Shinichiro

 久保をカスティージャで指導するのはレアル・マドリードのレジェンド、ラウール・ゴンサレス。クラブはラウールに対して、久保がチームの主軸に据えられるべき存在であるとの勧告を行なっている。先にプロライセンスを取得したラウールが贔屓にするシステムは4-3-3と4-2-3-1だが、久保は右ウイングか右サイドハーフ、またはトップ下としてプレーするはずだ。

 そして久保が来季、ジネディーヌ・ジダン率いるトップチームで出場機会を得る可能性は......もれなく存在している。ヴィニシウスと同額の移籍金4500万ユーロで、今夏にレアル・マドリードに加わったロドリゴが、トップチームではなくカスティージャの選手として登録されるならば、トップチームのEU圏外枠を使うのはヴィニシウス、ミリトンの2選手だけとなり、1枠空きが存在する。そうなればジダンが試したいタイミングで、ロドリゴか久保のどちらかを招集して、ピッチに立たせる可能性がある。

 久保にとってカスティージャは、レアル・マドリード所属選手としての日々のプロローグとなる。クラブの見立てでは、彼は2部Bでプレーする器ではなく、実質的にはカスティージャよりも、トップチームと距離が近い選手としている。何よりクラブの首脳陣は、日本人選手がレアル・マドリードのユニフォームを着てベルナベウに立つことに、大きな魅力を感じている。

 しかし、いずれにしても最後には実力が物を言う世界である。18歳のヴィニシウスがすぐにトップチームに定着したのに対して、16歳で青田買いされたマルティン・ウーデゴールは、20歳になってもレアル・マドリードに戻れず、レンタル移籍を繰り返している(ちなみにウーデゴールはスペイン語が拙いこともあってカスティージャにまったく馴染めなかった)。また、たとえ商業的な名目があるにしても、ラウール、ジダンが起用に値しないと考えれば、上からの要望など簡単にはねつけることができる。

 つまり、ここからはすべてが久保次第となるわけだ。まだ完全には加工されていない、極めて純度の高いダイヤモンドは、一体どこまで輝きを増していけるのか。少なくともレアル・マドリードのファンは、そのダイヤモンドの値段や価値などには興味を持っていない。ただただ、ベルナベウで眩い煌めきを放つことを期待している。

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