コパ・アメリカ中間総括と優勝予想。
ブラジルの救世主は小さな玉ねぎだ

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

 コパ・アメリカの決勝トーナメントが始まる。ここに至るまでには、よくも悪くも予想外の展開が数多くあった。まずは、残念ながらブラジルから去ることになった4チームから評していこう。

 一番弱いチームはボリビアだったが、一番がっかりさせられたのはエクアドルだ。ここ3年、彼らはずっといいサッカーをしてきたのに、ふたを開けてみれば結局、1勝もできなかった。

 カタールには拍手を送りたい。クオリティがなく、危険ではないと思われていたが、スペイン人監督フェリックス・サンチェスは興味深いサッカーをするチームに仕上げていた。パラグアイ戦では、2-0とリードされていたにもかかわらず、後半はゲームを支配して同点に追いつき、あと少しで勝ちそうな勢いだった。

 しかし、いい意味で大きく期待を裏切ったのは日本だ。ひとつ付け加えておきたい。グループステージが終わった段階で、各国の記者たちがそれまでのベストマッチを選んだ。それがウルグアイ対日本戦だった。日本は4チーム中、最も敗退に値しないチームだった。

ペルーを5-0で下し、それまでのうっ憤を晴らしたブラジル photo by Watanabe Kojiペルーを5-0で下し、それまでのうっ憤を晴らしたブラジル photo by Watanabe Koji 反対に勝ち進んだことに疑問を感じたのはパラグアイだ。カタール相手にひどい試合をし、負けなかったのはただ運がよかったせいだけだ。絶不調のアルゼンチンとも引き分け、すでに勝ち抜けが決まって主力を温存したコロンビアには1-0で負けている。彼らが残り、日本が去るのはどうにも不公平だが、それがサッカーでもある。

 ブラジルに0-5と大敗したペルーが準々決勝に進出したのも、あまり納得がいかない。ひとえに最弱のボリビアが同じグループにいてくれたおかげだろう。

 チリの戦いぶりも気に食わなかった。前回、前々回の優勝チームの片鱗はまるで見られなかった。チリを救ったのは、チリ人ではないレイナルド・ルエダ監督(コロンビア人)だ。4-0で勝利した日本戦以外は平凡なチームだったし、その日本戦も正直、そこまで大勝するようなプレーはしていなかった。

 グループステージで一番謎が多く、混乱していたのはアルゼンチンだ。3試合中、ひとつも納得のいく出来のものはなかった。カタール戦でDFのミスと、珍しいセルヒオ・アグエロのゴールがなかったら、アルゼンチンは確実に家に帰っていただろう。

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