久保建英の強力なライバルはこいつらだ。欧州で東京五輪出場国が決定 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 世界的スター選手にして、ルーマニアのレジェンドであるゲオルゲを父に持つハジは、トップ下に位置する攻撃的MF。典型的なレフティだった父とは違い、左右両足を同等に操り、正確なキックからチャンスを作り出す。

 一見すると、ややクラシカルな香り漂うプレーメイカーだが、前線から相手のパスコースを切る守備もうまく、非常に現代的なフットボーラーという点も、父とは似て非なるところ。フランス戦でも敵陣でタイミングのいいアプローチからボールを奪い、決定機につなげている。父が2009年に創設し、若手育成に力を入れる新興クラブ、ヴィトルル・コンスタンツァで育ったというのもうなずける。

「今大会のイアニスは、1994年ワールドカップでの彼の父親と同じようなパフォーマンスを見せている。キープ力があり、ディフェンスをかわしてチャンスを作ることができる。ただし、彼は両足を使う。父親とよく似ているが、まったく同じではない」

 ラドイ監督も、そんな言葉でハジの能力を高く評価する。

 実力はもちろんのこと、"ハジ・ジュニア"という話題性も含め、東京五輪に出場すれば、間違いなく大きな注目を集めるはずだ。

 そしてルーマニア同様、1996年生まれが5名と、若い選手中心の編成だったフランスで注目したいのは、最終ラインでチームを支えるCBコンビ。1999年生まれのDFイブラヒマ・コナテと、1998年生まれのDFダヨ・ウパメカノだ。

 グループリーグ3試合での総得点が3と、攻撃の迫力に欠けるフランスがここまで勝ち上がってきた要因として、彼らの存在は見逃せない。

 ともにドイツのRBライプツィヒでプレーするふたりは、堅実な守備ばかりでなく、攻撃の起点としての働きも目立つ。とくにコナテがボールを前に持つ出すときのドリブルのスピードは驚異的で、警戒を怠って彼の前を空ければ、たちまち中盤をも破られてしまう。

 ドイツが2009年にこの大会を制したときのメンバーだった、DFマッツ・フンメルス、ジェローム・ボアテングのように、彼らもまた、今後A代表で中心的役割を果たすのではないか。そんな将来を予感させる選手たちである。

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