メッシのアルゼンチンは問題山積。マラドーナも「トンガに負ける」と苦言 (2ページ目)

  • セルヒオ・レビンスキー●文 text by Sergio Levinsky
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

 0-2で敗れたコロンビア戦は、アルゼンチン史上最悪の公式戦のひとつと言ってもいい内容だった(スカローニ監督も認めている)。4-3-1-2で臨み、メッシとアグエロ、アンヘル・ディ・マリアの同世代の3人に前線を託したが、コロンビアの激しいプレスと巧みなボール回しに翻弄され、主導権を献上。長身の選手がひとりもいない前線へのロングフィードが多くなり、ジェリー・ミナとダビンソン・サンチェスにたやすく対応された。

 次のパラグアイ戦ではチーム編成を変え、ロドリゴ・デ・パウルとロベルト・ペレイラを両翼に置き、前線にはマルティネスを配する4-4-2に。しかしこれも選手間の連係の向上にはつながらず、相手に先制されたあと、VARの判定により与えられたPKをメッシが沈めて、なんとか勝ち点1を拾った。

 アルゼンチン・サッカーが抱える問題は根深く、その最たるものは育成の不振にある。とくに中盤の中央で堂々と相手と渡り合える選手が育っていない。これまで、ハビエル・マスチェラーノやルーカス・ビグリアらが担っていた役割だ。スカローニ監督はここにレアンドロ・パレデスとジオバニ・ロ・チェルソ(あるいはデ・パウル)を配しているが、彼らには狭い局面の技術はあるけれども、敵を圧倒するようなタフネスや激しさはない。また前線をはじめ、周囲との呼吸が合っておらず、優れたテクニックを十全に発揮しているとも言い難い。

 カタール戦でビッグチャンスを大きく外すというらしくない姿を晒したメッシは、「ここまでプレーしたピッチはどれもひどいものだった」と苦言を呈しているが、問題は芝の状態だけではない。過去の代表でも見られたが、自分のリズムに合う選手がいない状況では、メッシは疲れたような表情でさまよっていることが多い。

 最大の懸念は、組織にも個々にもクオリティーが足りない守備陣にある。ライン統制という基本ができていないうえ、監督の指示なのか、低い位置からパスを回そうとして危険な位置でボールを失うシーンもたびたび。主軸のニコラス・オタメンディはマンチェスター・シティで定位置を失ったことにより、試合勘が鈍っているように見えるし、相棒のヘルマン・ペッセッラやフアン・フォイには信頼が置けない。4バック同士の連携にも向上の余地が大いにあり、中盤とのリンクもスムーズではない。

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