コパ最下位で高まる不協和音。アルゼンチンが頼るは「奇跡」のみだ (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

 グループステージ最終戦を残したアルゼンチンの状況は深刻だ。2試合で勝ち点1。カタールと同勝ち点だが、得失点差によりアルゼンチンはグループ最下位に沈んでいる。

「パラグアイに引き分けることができたのは奇跡だ」と、アルゼンチンの人々は自嘲気味に言う。

 アルゼンチンの新聞『Ole(オレ)』は「アルゼンチンが次の試合に勝とうが、とにかく奇跡が必要だ」と書いている。まさしくそうだ。アルゼンチンはカタールに絶対に勝たなければいけないが、たとえ勝ったとしても、それだけでは十分でない。アルゼンチンの命運はもうひとつのコロンビア対パラグアイ戦にもかかっている。コロンビアが勝たなければ、アルゼンチンは勝利したとしても2位にはなれないのだ。

 ところが、コロンビアのベテラン監督カルロス・ケイロスはすでにこう表明している。

「コロンビアの首位通過はもう確定している。次の試合では大幅にメンバーを代え、主力を休ませるつもりだ」

 一方のパラグアイはグループ突破に向けて、最強のメンバーで臨むだろう。アルゼンチンにはやはり奇跡が必要だ。グループ3位になってしまったら、アルゼンチンは他グループの3位との兼ね合いで運命が決まることになる。もちろん、カタールに引き分けた場合、条件はより厳しくなる。

 アルゼンチンの主要紙『Clarin(クラリン)』の試合翌日の見出しは、「もう苦しむのはたくさんだ!」だった。アルゼンチン人の気持ちを如実に表している。

 アルゼンチンのスカローニ監督はパラグアイ戦後、「いまだに生き残っていることに、まだ希望があることに、我々は感謝しなければならない」とコメントした。だが、これだけトップクラスの選手を擁するチームが、決勝トーナメント進出に向けて首の皮一枚でつながっていることに感謝するなど、あってはならないことだろう。

 アルゼンチンの英雄ディエゴ・マラドーナはテレビ番組で「このチームは愚かで、弱くて、混乱している。今ならトンガと試合したって負けるだろう」と言い放った。トンガはFIFAランキング202位のチームだ。

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