コパ・アメリカのブラジル代表にレジェンドが大激怒。「屈辱的だ」 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

 ベネズエラ戦でブラジルは、ロベルト・フィルミーノ、コウチーニョ、ガブリエル・ジェズスがそれぞれ1ゴールを決めた。しかしひとつはオフサイド、あとの2つはVAR判定により取り消された。どれも納得のいくジャッジだった。審判にだけでなく、ビデオにもブラジルは平凡なチームであることを証明されてしまったわけだ。

 たったひとり、途中交代で入った若者だけがブラジルを魅了した。23歳のFW、エベルトンのおかげで、ブラジルは最後の15分、どうにか攻撃力を取り戻した。

 初戦で黒星を喫したアルゼンチンは散々叩かれたが、今のブラジルはアルゼンチンと似たり寄ったりだ。国民から責められ、非難され、メディアは失態の原因を分析し、元選手たちは厳しい見解を述べ、なにより信頼を失った。

 いや、もしかしたらアルゼンチンよりひどいかもしれない。初戦で彼らが敗れたのは、ここまでコパ・アメリカで一番の強さを見せているコロンビアだ。だが、ブラジルは参加国中最弱と言われているボリビアにひどい内容と苦労の末に勝利し、やはり格下のベネズエラからはゴールを奪えなかったのだから。

 ベネズエラが堅い守りで出てくることは最初から予想できていたはずだ。それに対してブラジルはほとんど無策だった。ペナルティエリアの外からいくつかクロスを上げたが、シュートはいつも的外れのところに飛んでいった。

 ブラジルのチッチ監督はさぞかし頭が痛いことだろう。チッチはロシアW杯前に監督に就任すると、冷静さと卓越したプレーのビジョンで、たちまちブラジル人の心をつかんだ。しかし、今の彼には恐れしかないように見える。

 試合を見終わったペレはひと言、こう感想を漏らした。

「なんて屈辱的なことだ」

 元ブラジル代表で、フラメンゴや鹿島アントラーズのスター選手でもあったジョルジーニョも驚きを隠せないようだ。

「こんな弱いブラジルなど信じられない。選手たちは優秀だが、いつも何かを恐れていた。いったいブラジルに何が起こったのか、私にはわからない。とにかく一日も早く状況が変わることを願う。こんなブラジルを見るのは耐えられない」

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