コパ・アメリカのブラジル代表にレジェンドが大激怒。「屈辱的だ」

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

 コパ・アメリカが現在の形となってからの40年で、ブラジル代表はベネズエラと25回対戦し、通算で89ゴールを決めている。単純計算すると、ブラジルは1試合につき平均3.56ゴールを挙げたことになる。反対にベネズエラがブラジルから奪ったゴール数は8。10分の1にも満たない。力の差は歴然としていた。2008年に一度だけ、親善試合でブラジルが負けたことがあったが、それが唯一の例外で、あとは21勝3引き分けだった。

 しかし、どうやら世界は変わってしまったようだ。

 コパ・アメリカのグループステージ第2戦。サルバドールで行なわれたブラジル対ベネズエラは、すべてにおいてブラジルが有利だった。5万人のサポーターはそのほとんどがブラジルを応援し、スタジアムはお祭りのような陽気な雰囲気だった。

 そこには、ふだん自国では見ることができないヨーロッパのビッグクラブで活躍するスター選手が勢ぞろいしていた。ネイマールこそ暴行問題とケガでいなかったが、それでもダニエウ・アウベス、フィリペ・コウチーニョ、ガブリエル・ジェズス、アルトゥール、アリソン......スターには事欠かない。セレソンのサッカーを楽しむには最高の雰囲気だった。

 しかし99分間の試合で、ブラジルの億万長者のプレーヤーたちは、ベネズエラから1ゴールも奪うことができなかった。

ゴールが決まったかと思われたがVAR判定で覆されたフィリペ・コウチーニョ photo by Reuters/AFLOゴールが決まったかと思われたがVAR判定で覆されたフィリペ・コウチーニョ photo by Reuters/AFLO 批判的な都市部のサポーターと違って、サルバドールのサポーターは、どんな時でもセレソンに温かい拍手を送ることで有名だ。しかしその彼らが、後半15分になんと自国の代表に対してブーイングを浴びせた。あまりのふがいなさに耐えられなくなったのだろう。

 結果は0-0。ブラジルはそれでもどうにか得失点差でグループ首位をキープしてはいるが、次戦では勝ち点が同じのペルーと対戦しなければならない。もしこの試合に負け、もうひとつの試合でベネズエラが勝てば、ブラジルは自国開催のコパ・アメリカで、グループステージで敗退することになる。こんな状況は屈辱以外の何ものでもない。

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