新星がレアルへ続々入団。ブラジルから見た久保建英のシビアな現実 (2ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki
  • 渡辺航滋●写真 photo by Watanabe Koji

 このうち、ヴィニシウスは16歳、ロドリゴは17歳の時に、すでにレアル・マドリード入りが内定していた。18歳になって公式戦に出場できるようになるのを待ってからクラブに合流した形だ。これに対し、久保の場合は6月4日に18歳の誕生日を迎え、FC東京との契約が満了し、移籍金なしで入団している。

 レアル・マドリードの内情に詳しいスペインのスポーツ紙『マルカ』の記者は、こう語る。

「クラブが久保の将来性を高く評価して、バルセロナ、アヤックスなど欧州のビッグクラブとの競争に勝って久保を獲得したのは事実だ。しかし、クラブが数千万ユーロの移籍金を積んで獲得した選手と久保を、同等に評価しているわけではないのも事実なのだ」

 また、「入団後、1年間はカスティージャでプレーする」という契約条項については、「これは、絶対的な決まりではない。今季のヴィニシウスのように、カスティージャで抜群のプレーを見せれば、1年を待たずにトップチームに上がるケースも出てくる」と説明する。とは言え、来季、トップチームでプレーする可能性については否定的だ。

「すでに3人の外国人枠が、ブラジル代表MFカゼミーロら強豪国の主力クラスで埋まっており、さらにベルギー代表MFエデン・アザールらを獲得してアタッカーの選手層が非常に厚いことから、来季、久保がトップチームでプレーする可能性は限りなくゼロに近い」

 同じ18歳でも、1年前のヴィニシウスと同じレベルとは評価されていないというわけだ。

 岡崎が言うように、世界には久保クラスの才能の持ち主は少なくない。そして、母国で「天才」と呼ばれ、欧州のビッグクラブに鳴り物入りで入団しながら、活躍できずにひっそりと消えた選手も珍しくないのだ。

 久保がレアル・マドリードという組織に入ったのは事実だが、今後、Bチームでの競争を勝ち抜き、さらにトップチームにいる主力選手を凌駕し、なおかつ外国人枠というハードルを乗り超えるという、気が遠くなるほど困難で険しい道のりが待っている。

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