2019.06.14

久保建英は新世界を切り拓く。
「レアル移籍内定」の裏側を読み解く

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Sano Miki

「レアル・マドリードは才能ある若手と契約し、トップに引き上げるというクラブの方針がある。(久保は)その条件に合ったということだろう。まずはカスティージャ(レアル・マドリードのBチーム)でプレー。その後は(2018年に18歳で入団したブラジル人アタッカー)ヴィニシウス・ジュニオールのようにトップに昇格できるか」

『MARCA』はそのように伝えている。端的に言えば、「若い才能に投資を惜しまなかった」ということになるだろうか。レアル・マドリードは即戦力でなくとも、10代のタレントと契約するポリシーを持っている。

 2015年、レアル・マドリードは当時16歳だったノルウェーの左利きアタッカー、マルティン・ウーデゴールと契約(当時は、FIFAが18歳以下の選手移籍を半ば容認していた)。また2016年には、ウルグアイ人ボランチ、フェデリコ・バルベルデを18歳になるのを待って正式に獲得している。ヴィニシウスも含め、まずはカスティージャでプレー。2019年夏には、「ネイマールの後継者」と言われるブラジル人アタッカー、18歳のロドリゴ・シウバが入団予定だ。

 久保も、世界一有望な若手リストのひとりに名を連ねたことになる。

 もっとも、未来は自ら勝ち取るものだ。

 2016年、パラグアイ人FWセルヒオ・ディアスは久保と同じように、18歳でレアル・マドリードに鳴り物入りで入団した。支払われた移籍金は、久保の倍以上の500万ユーロ(約6億円)だった。しかし、たった1シーズンでほぼ見切りをつけられ、2シーズン目は2部のチームに貸し出されたが、そこでも膝のケガもあって鳴かず飛ばず。現在は1年半の契約で、ブラジルのチームに貸し出されている。

 来季は、2部B(実質3部)に在籍するカスティージャで、久保は一歩を刻むことになる。そこで他を圧倒するプレー、もしくは好成績を残せなければ生き残れない。先に挙げた若手選手で、トップの定位置を奪った選手は、ヴィニシウス以外、ひとりもいないのが現状である。久保の想定ライバルは、ベルギー代表エデン・アザールか、スペイン代表イスコか、はたまたクロアチア代表ルカ・モドリッチか。ポジションも含め、すべては監督次第になるが、いずれにせよ厳しい競争が待っているだろう。