3度目のCL決勝。クロップは「シルバーコレクター」返上なるか? (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

「昨年の敗北とその後の1年間に多くのことを学んだ。今週末の決勝では、それらを生かしたいと思う。決勝は1試合だけど、どんなことでも起こりうる。いかなるシナリオにも対応できるように準備するよ」

 対戦相手のトッテナムはそれこそ、どんな展開にもうまく対応できるチームだ。アルゼンチン人指揮官のマウリシオ・ポチェッティーノはプレミアリーグで屈指の戦術家と謳われ、対戦相手や状況によってさまざまなシステムと戦術を使い分ける。

 リバプールは今季のリーグ戦でトッテナムに2戦2勝としているが、どちらもスコアは2-1と僅差だ。また高い位置から猛然とプレスをかけ、ボールを奪ったらスピーディにゴールを目指すことを基調とするリバプールにとっては、準決勝でトッテナムの前に華々しく散ったアヤックスの方が与し易かったかもしれない。オランダの名門は低い位置からのポゼッションを基本線としていたが、トッテナムは受けに回るのも苦にしない。イングランド勢同士の決勝は、互いに手の内を知り尽くしたチーム同士の対戦になる。

 すると最後に違いを作るのはやはり個の力となりそうだが、その意味では、両者ともにポジティブになれるはずだ。最大の懸念材料はともに負傷離脱中のストライカーの状態にあったが、リバプールのフィルミーノもトッテナムのハリー・ケインも、日本時間6月2日早朝の決戦に間に合いそうだという。

 どちらも先週、全体練習に戻り、クロップ監督は「ボビー(フィルミーノ)はトレーニングをこなしているし、状態はとても良さそうだ」と語り、ケインは自ら「決勝が明日だとしても、僕はプレーできる。何も問題はない」と27日の練習後に複数のメディアに話している。

 また今季のCLファイナルに唯一出場する可能性を持つアジア人選手、トッテナムのソン・フンミンは彼の母国のファンや我々日本人のように、早起きして試合をライブ観戦するアジアの人々に、次のように謝意を述べている。

「(早朝4時に起きるのは)簡単じゃない。僕も子供の頃に何度かやったことがある。早めに寝て、4時に起きて、そのあと仕事に行く人もいる。そこまでして観てくれる人に、本当に感謝しているよ。だからこそ、僕はいつも100%でプレーするんだ」

 この26歳の韓国代表も、ルーカス・モウラやクリスティアン・エリクセンらとともに、トッテナムのCL初優勝のカギを握るひとりだ。対するリバプールは14年ぶり6度目の欧州制覇を狙う。

 今季の欧州フットボールを締めくくるプレミアリーグ勢対決。しびれる頂上決戦になるはずだ。

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