2019.05.29

バルサは立ち直れるか。大逆転の連続のCLを達人が徹底的に語り合う

  • photo by Getty Images

倉敷 それも、10のうちの9つの要素のうちのひとつでしょうね。

小澤 いずれにしても、バルサとしては傷があまりにも深すぎます。来シーズンもこのままバルベルデが続投するとは思いますが、バレンシアとの国王杯決勝でもアンフィールド・ショックの影響はかなり出ていました。もうリバプール戦以降のバルサは別チームになっていますね。とくに精神面で。

 ピケが国王杯決勝後のミックスゾーンで「もしリバプール戦であのようなことがなければ僕たちはトリプレテ(三冠)を獲っていたと思う」とコメントしていましたが、強がりでも言い訳でもなくそれは事実でしょう。もし国王杯決勝で勝って5連覇、2年連続9度目のドブレテ(二冠)を達成していたとしても、正直何の足しにもならないくらいのショックになっています。またしてもたった1試合で、長いシーズンを通して築き上げてきた成功を台無しにしてしまいました。

倉敷 小澤さん、現在のバルサのサイクルは終わりに近いと感じていますか?

小澤 サイクルという意味では、もはやメッシしか残っていないですからね。メッシがこれだけ絶対的存在になってしまった時点で、これ以上は望めないのではないでしょうか。現在はメッシと組みやすい選手でチームを編成しなければいけないですし、本来であればスアレスもバルサでのサイクルに終わりが近づいていると思いますが、なかなかスアレスを切れないという事情もあります。メッシがあまりにも大きすぎる存在になっているので、誰もそこに触れられなくなっていますから。

中山 それだけに、やっぱりメッシが今回負った傷は深いですよね。CL敗退のあと、メッシはヒゲをバッサリ剃っていましたが、あれも何かを変えたいという気持ちの表われなのでしょう。以前、アルゼンチン代表引退をほのめかしたとき、「ゼロからやり直したい」という心境で金髪に染めたこともありましたが、今回も同じような気持ちなのでしょうね。

倉敷 コパ・アメリカのときもそうでしたけど、「僕がいるから負けるのかもしれない」と自分を責めてしまうかもしれません。今のメッシには友人や家族と長く過ごす時間が必要なのだと思います。

中山 もう1度CLを獲得するまで、この傷は癒えないのかもしれませんね。

小澤 あとは、クラブとして現在の流れでどのように立て直していくのかが注目なのですが、最近は大金を叩いて外から選手を買ってくるばかりなので、不安要素は多いですね。そもそもこのクラブの成功は、ラ・マシアを拠点に下から育成した選手たち、しかもカタルーニャ人を中心にボールを握るフットボールで勝ってきたという部分があると思うのですが、残念ながらそういった哲学は現在のフロント陣からは伺えないというのが実情です。

 フレンキー・デ・ヨングはたしかにすばらしいタレントですし、マタイス・デ・リフトもビッグクラブであればどこも欲しがる逸材ですが、中盤ではすでにカルラス・アレニャーが台頭してきていますし、シーズン終盤に使われたジャン=クレール・トディボもポテンシャルの高さを発揮しています。

 また、ここ数年ジョルディ・アルバの代役がいないと言われていますが、今季の・アレハンドロ・グリマルド(ベンフィカ)、マルク・ククレジャ(エイバル)のパフォーマンスの高さと安定感を見てしまうと「そもそもなぜ彼らがトップで使われなかったのか?」と聞きたくなります。