長谷部誠は出色。今季ブンデス日本人選手の評価はグレーゾーンなし

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 ブンデスリーガ1部の2018-19シーズン最終節、日本人選手の明暗が、いままでにないほどはっきりと分かれた。そこにグレーゾーンはなかった。

「明」は、長谷部誠(フランクフルト)、大迫勇也(ブレーメン)、原口元気(ハノーファー)の3人。最終節でもフル出場を果たした。一方の「暗」は宇佐美貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)、久保裕也(ニュルンベルク)、浅野拓磨(ハノーファー)の3人で、それぞれ事情は異なるものの、最終節の出場はなかった。最終節の明暗は、今季の彼らを象徴しているようでもあった。厳しい現実をつけられたシーズンだった(採点は10点満点)。

長谷部誠 採点8

「ハンパない」という表現は、今季の長谷部にこそピッタリだった。ここ数年の長谷部と比べても、特筆ものの活躍だった。キッカー誌の今季ベストイレブンに選ばれたのは、日本人のひいき目ではなく、現地で高い評価を与えられたことを示している。

ドイツ・キッカー誌の今季ベストイレブンにも選出された長谷部誠(フランクフルト)ドイツ・キッカー誌の今季ベストイレブンにも選出された長谷部誠(フランクフルト) 個人としての活躍がチームの躍進に直結した。フランクフルトはヨーロッパリーグ(EL)で準決勝に進出。インテル、ベンフィカといった欧州を代表するクラブを打ち破り、準決勝ではチェルシーを相手にPK戦にまで持ち込んだ。

 メンバー表を見ればチェルシーとの差は歴然としていた。フランクフルトのメンバーは無名選手ばかりだったが、そんなチームメイトを長谷部がまとめ上げた。日本代表の試合で見ていた時よりも、さらに口うるさく味方に指示を出し、頻繁にベンチとコンタクトを取る姿が印象的だった。キャプテンマークは巻いていなくても、長谷部がチームの中心にいることは一目瞭然だった。

 見ていて勇気づけられるのは、30代半ばにしてまだ成長しているということだ。長谷部は「試合が続くと、できないことが増える」という言い方で、体力的な問題を自ら指摘していた。それでもこれだけの活躍ができたのは、年齢と経験を重ねたことで視野が広がり、安定感を得たからだろう。来季以降が楽しみな35歳だ。


大迫勇也 採点7

 アジアカップで臀部を負傷。当時は歩くことさえ難しく、心肺機能を落とさないために自転車に乗る程度のことしかできなかったそうだ。この一件ではブレーメンが日本協会を批判するなど、大きな問題提起がなされた。代表招集は、今後、協会もチームも真摯に向き合うべき問題だろう。

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