感覚で決めるのがジダン流。レアル刷新の「ZZプラン」が動き出した (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

「一生懸命やって、どうにかジダン監督に認めてもらうように励んだよ。でも、もう無理だな、っていう瞬間があった」

 セバージョスはジダンが前回、監督を辞任した後、そう言って不満を漏らしていた。

「リーグ戦で2得点しても、その後のチャンピオンズリーグ戦の出場はわずか1分。自分は重要な選手じゃない、と感じた。(トニ・)クロースや(ルカ・)モドリッチがケガをしても、システムを変えて対処し、自分にお呼びはかからなかった」

 その"批判"が影響したのかどうかはわからないが、今回の戦力外通告は必然だったと言える。

 ジョレンテも、セバージョスのケースに近い。サンティアゴ・ソラーリ前監督からは厚遇され、中盤のキーマンとしてクラブW杯優勝に大きく貢献。進境著しい若手のひとりだったが、ジダンからは評価されていない。そもそも、カスティージャ(レアル・マドリードのBチーム)時代からジダン(当時監督)に冷遇され、ポジションを与えられていなかった。

 ジダンは天才プレーヤーだっただけに、感覚的判断があるのかもしれない。フィーリングの合わない選手との関係ははっきりしている。

 バイエルンに貸し出しているMFハメス・ロドリゲスとは周知のとおり犬猿の仲。ソラーリが好んだ"頑張る左サイドバック"セルヒオ・レギロンもお眼鏡にかなわず、期限付き移籍の公算が高い。控えに回っていたマルセロを復活させつつ、リヨンの若きフランス代表、フェルラン・メンディを獲得し、将来に備えると言われる。

 ジダンは自分の感覚で選手を判断する。その点、偏見はない。出場機会に恵まれず、来季は"風前の灯火"だったDFヘスス・バジェホ、MFブラヒム・ディアスを再評価。また、MFフェデリコ・バルベルデを、「中盤はどこでもできる。質もユーティリティも高い」と賞賛している。

「君は練習生ではない。テストなどと思わず、ただプレーを楽しむように。持っているものを出せばいい」

 ジダンは、そう言ってバルベルデを励ましたという。その扱いは、セバージョス、ジョレンテと比べて雲泥の差だ。

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