またもネイマール頼み? コパ・アメリカ開催国ブラジルに広がる不安 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳
  • translation by Tonegawa Akiko

 ブラジルをどうにか救ったのは、リシャリルソンのセットプレーからの得点だった。またもやサポーターからはブーイングが浴びせられ、メディアは監督に多くの疑問を投げかけた。この時のブラジルの攻撃ラインはリシャリルソン、ウィリアン、ドゥグラス・コスタ、フィルミーノ、ガブリエル・ジェズス。ヨーロッパのビッグチームで活躍するスター選手たちが、代表戦になるとそろいもそろって満足のいかないプレーを見せるのである。

 2019年3月のチェコ戦は、先制されたものの、3-1で逆転勝利した(ネイマールはケガで出場しなかった)。だが、その3日前に行なわれたパナマとの情けない試合には、何らかの説明が必要だろう。パナマはFIFAランキング74位、ロシアW杯では最弱のチームだった。にもかかわらずブラジルは苦戦し、1-1の引き分けに終わった。いや、もう少しで負けるところだったのだ。

 ブラジルは得点力がないどころか、パナマゴールを脅かすこともできず、反対にパナマに何度も攻め込まれていた。ネイマールを欠いてはいたが、それ以外はほぼベストメンバーと言っていいラインナップ。しかし、コウチーニョもフィルミーノもガブリエル・ジェズスも、ピッチでいいところを見せることはできなかった。

 それまで代表経験のなかった若手のルーカス・パケタ(ミラン)がゴールを挙げなければ、ブラジルは敗れていたろう。パナマはその後同点に追いつくと、それからも何度もゴールに迫っていたからだ。ブラジルよりずっと勝利に近かった。

 これがこの春の時点でのブラジルの現状だ。

 そしていま、様々な疑問がチッチに襲いかかっている。チッチはいまだコパ・アメリカに誰を招集したらいいかわからないでいる。唯一確実と言われていたのがネイマールだったが、そのネイマールもケガをして2カ月欠場した後、やっとピッチに戻ってきたばかりだ。大会でプレーすることはできるだろうが、コンディションがどこまで戻るかは不明だ。

 ネイマールには不安が残るが、かといって、他にチームの主柱となれる選手が誰なのかもわからない。

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