フランクフルトの同僚が語る長谷部誠。「ハセの監督姿を見てみたい」 (2ページ目)

  • 鈴木達朗●取材・文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

――戦術以外で、コヴァチ監督とヒュッター監督の違いを感じることはありますか?

「ふたりとも、かなりディティールにこだわるところは共通で、トレーニングでも試合でも完璧に近いものを求めてくる。トレーニングの内容に関しては、コヴァチ監督のほうが全体的に少しハードで時間も長かった。対してヒュッター監督は、強度の高い練習を短時間でやる。とても細かい動きで、スピードが求められる内容が多い。コミュニケーションの部分では、どちらも対話に応じてくれるけど、少し年齢が上で経験もあるヒュッター監督のほうが、難しい状況でも落ち着いて対応できるかもしれない」

――ルス選手はヴォルフスブルク時代に、フェリックス・マガト監督のもとでもプレーしています。軍隊式トレーニングなどで"伝説的"な監督ですが、そこから得られたものは?

「彼は"オールドスクール"だから(笑)。昔の監督は本当にハードで、選手が『これ以上は無理だ』と言うか言わないかというギリギリのところで調整する。選手が本気で課題をやり遂げようとする"意志"が見られれば、仮にそれができなくともOKなはずだけど、マガト監督は余力を残してあきらめる選手を見ると激怒した。独特のやり方だから僕も慣れるのに少し時間がかかったよ。この時の体験は、今思えば成長に役立った部分もあると思うけど、現代サッカーでは数年前とは違ったタイプの監督が必要とされているだろうね」

――ヴォルフスブルク時代にも共にプレーした長谷部選手の印象は?

「今季のハセは、リーグでもベストなDFのひとりだよ。本当にすばらしいプレーをしている。確実にボールを扱えて視野が広く、経験も豊富だ。近年はさらなる成長を遂げているし、今の段階でもトップレベル。病気やケガもなく健康でいられることが、彼自身にとっても、チームにとっても大事なことだね」

――ルス選手や長谷部選手のように、30歳を過ぎてもトップレベルで活躍できる選手は限られています。長く現役を続けられる理由はどこにあると考えていますか?

「能力はもちろん必要だけど、年齢を重ねるほど、性格や意志の強さといった"頭の中"が重要な役割を果たすんだ。たとえば、フランクフルトには21歳のルカ、さらに若い19歳のエヴァン・ヌディカといった有望な選手たちがいる。彼らは僕が到達できなかったレベルまで成長できる才能を備えていると思うよ。そういう若い選手がポジションを得たときに、僕のようなベテラン選手は自分のキャリアが終盤に差し掛かっていることを頭に入れないといけない。受け入れるのは難しいことだけど、そこを冷静に判断すればやるべきことが見えてきて、問題なくチーム内で活動を続けていけるんだ」

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