武藤嘉紀が絶好の機会に出られず。
「フラストレーションが溜まる」

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

(記者:前半は相手の守備が緩かった)ゆるゆるでしたね。後半1−0の場面でも、カウンターで味方がフリーになっている場面もあったので、『ここで出られたらなぁ』と思いましたけど。1−1の同点になった瞬間、相手はノリノリになっちゃって。だけど、そこでどうにかしないといけないのかなと思います」

 ブライトンが後半30分にクロスボールから同点に追いつくと、息を吹き返した。武藤が投入されたのは、失点から6分後のこと。「上下動しろ」と、ラファエル・ベニテス監督から指示を受け、後半36分から5−4−1の右MFの位置に入った。

 残り時間は9分。なんとかして流れを引き寄せたいという思いは、投入直後に「相手DF→GK」の順でパス回しを積極的に追いかけたことでも伝わってきた。

 しかし、なかなか好機に絡めない。相手に押し込まれ、武藤も右サイドで守備に回る時間が長かった。武藤としてはゴールがほしい。しかし、チームは劣勢――。ジレンマを抱えながらプレーした。

「(出番は)追い込まれて、押し込まれているときの(ラスト)10分だった。自分たちが点を獲りにいく10分ではなかった。でも、あそこでワンチャンスを決めないと、今の序列は変わらない。非常に......(ため息)難しいかな。今日はフラストレーションが溜まる試合でした。

 とにかく『前へ上下動しろ』と言われたけど、もう(味方が)疲れてきてしまっていて、前の選手も力が残っていなかった。加えて、相手の勢いが増していたから、ボールをもらえる回数も少なかった。いつものニューカッスルらしくなかった」

 試合は、このまま1−1で終了。3分間のアディショナルタイムと合わせ、武藤は12分間プレーした。4月1日のアーセナル戦以来となる途中出場となったが、決定的な得点チャンスはなく、ボールタッチも少なかった。武藤の言葉どおり、日本代表FWにとって難しい試合になった。

 今シーズンの残り試合はふたつ。次節は優勝争いを演じているリバプール戦だ。負傷したペレスは打撲を負っただけのようで、次節には間に合うかもしれないが、それでも強豪リバプールが相手であるだけに、武藤は気持ちを高めている。

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