監督も惚れている堂安律の才能。浮き球スルーパスで久々に輝いた (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 試合翌日のリカバリーの日も、堂安は試合に出なかった選手たちの練習に混じっている。堂安の疲労を考慮し、コーチ陣は「やめとけ」と言うのだが、それでやめる堂安ではない。

 私個人は「休みも練習のうち」派なので、コーチたちの言い分のほうが正しいと思う。だが、選手には選手の思いがあるだろう。トライ・アンド・エラーは若い選手の特権だ。まずはやって、それを経験にすればいい。

 ズウォレ戦が終わり、私はバイス監督に「今年に入ってからの堂安は、明らかに結果を残せていませんでした。それでもなぜ、あなたは堂安をずっと我慢して、先発に出し続けたのですか?」と訊いてみた。

「彼のようなアタッカーに大事なのは"自信"なんです。彼のクオリティの高さは間違いない。私は堂安に信頼を与えることによって、自信を失わせないようにしたんです。加えて、堂安はパーソナリティもすばらしい。いい奴なんですよ」

 その我慢が実って、今日のアシストが生まれたんですね――。そう言うと、36歳の若き青年指揮官は目を三日月のようにさせて、笑いながらうなずいたのだ。

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