監督も惚れている堂安律の才能。浮き球スルーパスで久々に輝いた

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 堂安律の所属するフローニンゲンは、4月24日に行なわれたズウォレ戦の57分、FWパウル・グラドンが2-1にする勝ち越しゴールを決めたものの、その直後に雷雨のため延期となってしまった。残りは現地時間29日の夜8時から再開される。

昨年12月以来となるアシストを決めた堂安律昨年12月以来となるアシストを決めた堂安律 堂安は20分、右サイドからスルーパスを通して、FWカイ・シールハイスの先制弾をアシストした。オランダのテレビ局『フォックス』の実況は、「今年に入ってから初めて堂安がフローニンゲンの得点に関与しました」とアナウンス。堂安にとっては、昨年12月2日のNAC戦で1ゴール1アシストを記録して以来の"結果"だった。

 中央から右サイドに流れてSBデヨファイシオ・ゼーファイクからのパスを引き出した堂安は、相手DFの密着マークを体幹の強さとハンドオフで突き放してブロック。さらに、アプローチしてきた別のDFを軽いボールタッチでかわし、フワリとした浮き玉のスルーパスをシールハイスに通した。

「サイドバックの選手(ゼーファイク)が僕をよく見てくれた。後はキープから自分の身体の強さを生かし、精度の高いボールが出せたと思う。自分の特徴が出たアシストだと思っています」

 立ち上がりから中央をブレークするドリブルを見せ、2度の"アシスト未遂"があった後のアシストだけに、堂安にとっても復調の手応えを掴んだ試合だったのではないだろうか。

 今シーズンの堂安はウインターブレークで休むことなく、日本代表に合流してアジアカップ決勝まで戦った。疲れは間違いなく蓄積していたはずだ。

 2月17日のフェイエノールト戦のように、時には「止められる気がしなかった」と本人が振り返ったほどの高いパフォーマンスも見せてはいた。だが、3月31日のAZ戦では64分、4月14日のヘーレンフェーン戦では52分でベンチに下げられたように、納得のいかない内容の試合も多かった。

 幸い、チームは好調だった。フローニンゲンは昨年12月末の時点で15位という順位に低迷していたが、今年に入ってから急に調子が上向き、第31節を終えた段階で9位。2019年の成績だけで見れば、フローニンゲンは4位の勝ち点である。

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