大迫勇也が反撃弾も悔しさMAX。
バイエルンに敗戦し、無言で去る

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by picture alliance/AFLO

 0-1の時点では、取り返せるような勢いがブレーメンにはあった。しかし63分にミュラーに追加点を決められると、さすがに意気消沈したかに見えた。

 その11分後だった。ブレーメンは、中盤で大迫が右に展開すると、テオドル・ゲブレ・セラシエからラシカへとつなぐ。そのラシカのクロスを、ゴール前に入った大迫が右足で決めて、反撃の狼煙を上げる。さらにリスタートしたわずかその1分後、ラシカが自らドリブルで駆け上がり、同点弾を決めた。

 だが、ここまでだった。80分にPKを与えてしまい、バイエルンに勝ち越しゴールを許した。その後もブレーメンは必死で食らいつき、ゴール前で幾度となくチャンスを作ったが、実らなかった。前半から飛ばしていたからだろう。終盤のプレーは精度とスピードに欠けていた。

 最高の雰囲気のなかで、絶対王者バイエルンを相手に死闘を繰り広げ、一時は同点に追いついたブレーメン。試合には敗れたものの、フロリアン・コーフェルト監督はチームに感謝した。

「すべてを投げ出して戦ってくれた選手たちに感謝したい。こんな試合をもっと頻繁に経験できるように成長していきたい」

 試合後、多くの選手は無言のままロッカールームに帰っていった。大迫もそのひとりだ。敗戦の悔しさをただただ噛み締めている。そんな様子だった。

 大迫のドイツ杯は終わった。だが、リーグ戦はあと4試合残っている。ブレーメンは現在8位。7位になればヨーロッパリーグへの道が開けてくる。7位レバークーゼンとの勝ち点差は2。まだまだ気の抜けない戦いが続く。

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