大迫勇也が反撃弾も悔しさMAX。バイエルンに敗戦し、無言で去る

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by picture alliance/AFLO

 一瞬、夢を見た。もしかしたらバイエルンを倒し、ドイツ杯決勝への道が開けるのではないか――。

 そんな夢を手繰り寄せたのは、大迫勇也の一撃だった。ブレーメンのホームスタジアムのファンたちがそれを後押しする。だが、その夢はわずかの時間で醒めてしまった。バイエルンにも決して余裕があったわけではない。試合終了のホイッスルが鳴ると、膝をつき、ピッチに倒れ込んだのはバイエルンの選手たちだった。

ドイツ杯バイエルン戦で、反撃の狼煙となるゴールを決めた大迫勇也(ブレーメン)ドイツ杯バイエルン戦で、反撃の狼煙となるゴールを決めた大迫勇也(ブレーメン) ドイツ杯準決勝、ブレーメン対バイエルン。前日に行なわれたもうひとつの準決勝、ハンブルガーSV対ライプツィヒ戦(1-3でライプツィヒが勝利)よりも、どちらに分があるかは明らかだった。組み合わせが決まった時から、おそらく決勝はバイエルン対ライプツィヒだろうと予想されていた。

 ブレーメンにとっては2試合連続となるバイエルン戦だった。4日前の20日には、リーグ戦をアウェーで戦った。0-1で敗れたが、ブレーメンは0-0で迎えた後半早々に退場者を出しており、いたしかたない敗戦でもあった。ドイツ杯に向けて、一定の手応えを得ていたはずだ。

 ホームで行なわれる大一番にかけたのだろうか。大迫勇也は今年に入って2度目の先発出場を果たした。

 序盤から積極的なのはブレーメンだった。ただし、仕掛けるブレーメンはどこか気合が空回りしたのか、ラストパスが強めに外れていく。そんななかで、大迫はポストプレーで有効な働きを見せていた。大迫がいることで、前線のマックス・クルーゼ、ミロット・ラシカが連携してゴールに迫ることができる。中盤のマキシミリアン・エッゲシュタインも効いていた。

 一方のバイエルンは、慌てることなく自陣で守り、キングスレイ・コマン、トーマス・ミュラーらによるサイドからのカウンターで効率的にゴールを狙った。

 バイエルンの先制点は36分。ジェローム・ボアテングがゴール前にロングボールを入れると、ミュラーがヘディングシュート。いったんはポストに跳ね返されたが、それをロベルト・レバンドフスキがゆうゆうと決めた。

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