ガムシャラより「落ち着け」。武藤嘉紀が吉田麻也から受けた助言の真意 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 武藤も「すべてが悪い方向に転がってしまった。この悪かった年をあまり考えすぎないようにしたい。ここで悩んでしまっても、悪い方向にいってしまうだけだと思う」と振り返る。

 対する吉田にも、苦しい時期があった。

 最も出番が少なかったのは、在籍2季目。マウリシオ・ポチェッティーノ(現トッテナム・ホットスパー)が指揮官を務めた2013-2014シーズンは、わずか8試合の出場に終わった。ポルトガル代表DFのジョゼ・フォンテ(現リール)とクロアチア代表DFのデヤン・ロブレン(現リバプール)の後塵を拝し、吉田はベンチを温め続けた。

 ただこの間、吉田はプレミアリーグで戦い抜くため、肉体改造に着手していた。マーカーの当たりにも負けない身体作りを始め、レギュラー奪取のための土台をつくった。

 今、何ができなくて、何ができるか──。そう考えて実践し、今につなげてきたからこそ、吉田は「とにかく落ち着いて来季を見据えろ」とアドバイスしたのだろう。

 こうした吉田の助言に、武藤は深く感謝している様子だった。前節のレスター・シティ戦後にも岡崎慎司から「ポジションが限られてきてしまっている状況で、どういう考えを持ってやるのか。途中から試合に出て何をするのか」(武藤)とアドバイスされ、プレミアリーグの先輩たちの言葉に耳を傾けた。武藤は言う。

「ふたりの言葉は、ありがたいですね。プレミアのなかで岡ちゃん(岡崎)はリーグ優勝を経験し、麻也君は7年間ここで戦っている。そうと思うと信じられないですよね、これだけ入れ替わりの激しいリーグで。

 ニューカッスルも、また今年の夏にすごい選手を獲ってくると思います。そういう状況に置かれても、ふたりとも試合に出ているのだから本当にすごい。彼らの言葉は非常に重いですし、自分としても聞かないといけない。『いや、俺の考えがあるから』っていう奴はそれで終わっちゃうと思う。とにかく彼らの助言をしっかりと受け止めて、そのうえで、自分で考えていければいいなと思ってます」

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