ガムシャラより「落ち着け」。
武藤嘉紀が吉田麻也から受けた助言の真意

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 ふたりの日本人選手にとって、4月20日に行なわれたニューカッスル・ユナイテッド対サウサプトン戦は厳しい試合となった。

 サウサンプトンの吉田麻也は先発フル出場を果たしたが、3つのゴールを許して1-3で敗戦。一方、ニューカッスルの武藤嘉紀は、ベンチスタートで最後まで出番を与えられなかった。武藤は3試合連続で出番がなく、大きな壁にぶち当たっている。

サウサンプトン戦でも武藤嘉紀に出番はなかったサウサンプトン戦でも武藤嘉紀に出番はなかった プレミア在籍7季目の吉田と、今季からイングランドに挑戦している武藤。ふたりは試合後、選手通路口で言葉を交わした。その際、武藤は吉田からアドバイスを受けたという。

「(吉田)麻也くんと話しました。今シーズンの残り3試合はあきらめるというわけではないですけど、『とにかく落ち着いて来季を見据えろ』と。ここで最後ガムシャラにやるというよりも、落ち着いてしっかりとフォーカスすること。そして、来季からスタートダッシュで行くしかない。

 今シーズンは忘れるじゃないですけど、やっぱり麻也君も試合に出られない時期を経験し、最終的に自分でポジションを勝ち取っている人だから。初めての年で僕に気を遣ってくれているのかわからないですけど、『悪い気持ちを溜めるな』と言われました」

 振り返ると、今シーズンの武藤は、イレギュラーなシーズンを過ごした。

 昨年7月下旬にニューカッスルへの入団が決まったが、英労働ビザを取得するためにイギリスをいったん離れた。チームに再合流できたのは開幕戦の4日前。この時点で、ポジションを争うライバルたちに後れをとった。

 当たりの激しいイングランドのプレースタイルに慣れてきた秋口に、レギュラーの座を一度は掴んだ。ところが、11月上旬にふくらはぎを負傷。そして、ケガが癒えて身体もフィットし始めた1月からは、アジアカップへの参加でチームを約1カ月離れた。

 この間、ニューカッスルは3-4-2-1の戦い方に磨きをかけ、上昇気流に乗った。武藤が戻ってきた2月にはすでに先発メンバーが固定され、彼のポジションがなくなっていた格好だ。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る