フランクフルトの中心にいる長谷部誠は「また新しい経験をしている」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 とくに攻撃的にならなくても、ふだんのようにやれば勝てるという算段があり、そしてそのとおり、しっかり勝ち切ったということだ。

「素直にうれしいのでは?」と聞かれた長谷部は一気にこう答えた。

「そうですね。1戦目では本当に我慢して、ひとり少ない時間が70分以上続いたなかで、アウェーゴールを2つ取って、今日にどうにかつなげ、最終的に2-0ということだから。もちろん、ツキはあったと思います。1点目なんかはとくに。そういうことも含めて、自分たちの力だし、こういうすばらしいホームのサポーターが後押ししてくれるので......。

 アイントラハト(・フランクフルト)の力が集結した気がするし、それだけではなくて、ドイツ中が自分たちに期待してくれているというのをすごく感じます。ブンデスリーガの試合が終わったあとに、相手の選手から『ヨーロッパリーグ頑張れ』とみんなに言われるし、ドイツを代表して自分たちは戦っているという感覚がある。

 それは自分が日本代表でプレーするのとは違う感覚ではあるんですけど、それくらい、国を背負っているという感覚がある。個人的にドイツという国には本当に恩があるので、こういうところでしっかりと、返していきたいなという思いがあります」

 ドイツを代表してヨーロッパで戦う感覚というのは、おそらく年齢とキャリアを重ねたからこそ得たものだろう。かつてヴォルフスブルクでチャンピオンズリーグ(CL)に出場した際は、「それほどすごい大会なのか、よくわからない」まま大会が終わってしまったと語っていた。その後、優勝争いも残留争いも経験したからこそ、欧州の大会の価値が身にしみるようになったのだろう。

 今季、CLでは決勝トーナメント1回戦でドイツ勢はすべて姿を消した。欧州の舞台に残るのはフランクフルトだけとなった。次はチェルシーとの準決勝だ。

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