さらにタフになった植田直通。
心の支えは鹿島の先輩・岩政の教え

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 ベルギーで起伏の激しいシーズンを過ごしたことによって、植田直通(セルクル・ブルージュ)はさらに強くなったのではないだろうか。

 ベルギーリーグのレギュラーシーズン30試合中、3分の2にあたる21試合に出場。欧州挑戦ルーキーイヤーのセンターバック(CB)として、それは上々の数字だろう。だが、第25節のクラブ・ブルージュ戦で61分に交代させられると、植田の出場機会はめっきり減ってしまった。

セルクル・ブルージュに移籍して大きく成長した植田直通セルクル・ブルージュに移籍して大きく成長した植田直通 それから2カ月間、プレーオフ2(※)を含めてセルクル・ブルージュが戦った7試合で、植田はたった1試合――ロケレン相手にしかプレーできなかった。しかも、その試合の彼は、前半だけで交代させられてしまった。

※プレーオフ2=レギュラーシーズン7位から15位までの9チームに、2部リーグの2位以下3チームを加えた12チームで行なわれる。

 こんな不遇な時期を過ごしたからこそ、今の植田の活躍には大きな価値がある。4月6日のムスクロン戦でCBとしてスタメンに返り咲いた植田は、チームを3-2の勝利に導く貴重なヘディングシュートを決めた。セルクル・ブルージュにとっては昨年12月16日のアンデルレヒト戦以来となる、本当に久しぶりの勝ち点3だった。

 続く4月13日のベフェレン戦でも植田はフル出場を果たし、チームは3-1の勝利を収めた。20分には右からのCKに対して、植田は上半身を思い切りひねりながらヘディングをミートさせた。一瞬、2試合連続ゴールか......と思ったが、相手GKの守備範囲内にシュートが飛んでしまい、惜しくもボールは弾かれてしまった。

「(2試合連続弾を)狙っていたんですけどね。感触はよかったんですが、ちょっとコースが甘かったです。ちょうど僕が出始めて2連勝なんで、うれしいです。続けてやっていきます」

 クラブ・ブルージュ戦で「3」、ロケレン戦で「5」という厳しい採点を植田につけた全国紙『ヘット・ニーウスブラット』は、ムスクロン戦とベフェレン戦はともに「7」という高い評価を与えた。また、サッカー専門サイト『フットボール・クラント』はムスクロン戦後、植田を鎌田大地(シント・トロイデン)とともに週間ベスト11に選出した。

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