ロナウドの野望を粉砕。アヤックスはCL史に残る画期的チームだ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Getty Images photo by Getty Images

 デンマーク代表のベテランMFラッセ・シェーネがまず、技術力に溢れたドリブルで、ユベントスDF網に割って入り、すごみを見せつける。そして左サイドにボールを散らすと、SBのダレー・シンクグラベンが中央に折り返した。このクロスはDFに当たるが、こぼれをモロッコ代表のハキム・ジエクが拾いシュート。それがDFに当たり再びこぼれると、今度はゴール前にポジションを取っていたドニー・ファン・デ・ベークの前に転がっていき、あとはゴールに流し込むだけだった。

 VARになったシーンだが、オフサイドではなかった。右サイドでシンクグラベンに対応していたフェデリコ・ベルナルデスキが戻り遅れていたため、ゴールはすんなり認められた。

 1-1、通算スコアは2-2。これでオールスクエアになった。とはいえ、次のゴールをユベントスが決めても1点の価値がないのに対し、アヤックスが決めた場合は1点以上の価値が出る。スコアはイーブンながら、ホームを戦う優勝候補の1番手、ユベントスは息苦しい戦いを強いられることになった。

 アヤックスとユベントス。線が太く感じるのはユベントスだ。アヤックスは線が細い。華奢な印象を受けるが、それは言い換えれば、繊細か否かの違いでもあった。どこかで見たような常識的なサッカーに終始したユベントスに対し、アヤックスは新鮮だった。これまでに見たことがないようなアイデア溢れるクリエイティブな攻撃を展開。試合を押し気味に進めた。

 第1戦もそうだったが、決定力に乏しいサッカーではある。後半17分、左サイドのダビド・ネレスから大きく右サイドに展開されたボールを受けたジエクが、シュートを打てる体勢にあったのにパスを選択したシーンなどは、その典型的なシーンになる。

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