CL4連覇に近づくロナウド。アヤックスの「甘い夢」をぶち壊す (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 これは、この間のアヤックスの成長を物語っている。7番手ながら、本命ユベントスを相手にしても、バタつくことはない。引かずに前に出る。そのパス回しは一段と洒脱になっていた。

 アヤックス対ユベントスと言えば、アヤックスが優勝した1994-95シーズンではなく、準優勝に泣いた1995-96シーズンを思い出す。ローマのオリンピコで行なわれた決勝戦。その対戦相手がユベントスだった。ユベントスのファブリツィオ・ラバネッリとアヤックスのヤリ・リトマネンがそれぞれゴールを決め、1-1から延長、PK戦に及んだ一戦だ。

 試合内容は五分五分。優勝したその前シーズンのメンバーから、何人かを引き抜かれても、アヤックスはユベントスと拮抗した関係を築いていた。パス回しは当時も冴えていたが、それはどちらかと言えば展開力という意味で、狭い局面での崩しは、今回のチームのほうがイカしている。

 唯一、足りないのは決定力。今回のチームには、リトマネン、パトリック・クライファート、ヌワンコ・カヌがいない。ほぼ完全に崩さないとゴールは決まらない仕組みになっている。

 日本代表に近いサッカーとも言えるが、逆に言えば、決まった時はその分、鮮やかだ。前戦のレアル・マドリード戦で奪った5ゴールはその産物になる。決定力は高くないのに勝ってしまった。アヤックスの魅力が凝縮された一戦だった。

 ユベントスはレアル・マドリードより力関係が接近している。第1戦終了後のスコアも1-2ではなく1-1だ。1-1のスコアからPK戦で敗れた1995-96シーズン決勝の借りを返す機会と言ってもいいだろう。

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