ロナウドをアヤックス戦に間に合わせた、超リハビリとCLへの執念 (2ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 実際、時計の針のように正確なスケジュールをこなして、ロナウドはその約束を実現させた。いつものことだが、彼はマニアックに、まるで何かに取りつかれたかのように、リハビリに努めた。マッサージ、テカール(高周波温熱機器)・セラピー、足首におもりをつけてのスイミング......。そして4月1日には待ち望んでいた知らせがドクターから返ってきた。「いろいろ検査をしたが、もう筋肉にダメージは見られない」というものだった。

 だが、ロナウドは別に驚いたりはしなかった。すでにわかっていたことだった。もう15年間もトップレベルでプレーしているのは決して伊達ではない。彼はどんな専門家よりも、自分の体のことを熟知しているのだ。

 ロナウドは、これまで住んだすべての町(リスボン、マンチェスター、マドリード)に、そしてここトリノにも、自分用にカスタマイズしたジムとプールのついた家を持っている。なぜならロナウドは典型的な"仕事を家に持ち帰る"タイプの人間だからだ。リハビリもトレーニングも、決められた練習時間内とは限らない。他の選手が練習を終える時間は、彼が自分独自の練習を始める時間なのだ。

 ロナウドはヘスス・サンタマリーアというパーソナルトレーナーを雇っている。レアルで知り合い、すぐに自分専用のトレーナーにと引き抜いた。ロナウドは彼をトリノにも連れてきて、ユベントスのスタッフにすることもチームに了承させている。ヘススはロナウドの筋肉の筋、1本1本まで熟知していて、そのおかげで、今回もこれほど迅速で完璧なリハビリができたのだ。もちろん、医学的な治療も万全だった。

 まだ何もかも不確かな初期の段階では、ユベントスのアンドレア・アニエリ会長は「危険は冒したくない。ケガが100%、完全に治った時にのみ、ロナウドは復帰させる。シーズン終盤に彼を失うより、1試合、彼抜きで戦ったほうがいい」と述べていた。

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