プレミア7年目の吉田麻也は、
主審との駆け引きもスキルアップ

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

「80分まではうまく戦えた」との言葉どおり、サウサンプトンは陣形をコンパクトにして、リバプールをうまく抑えていた。スペースを見つけられないリバプールは攻撃のギアをなかなか上げられず、攻めあぐねるシーンが目立った。

 さらに、吉田はリバプールについて、「いつもなら、もっとコンビネーションで狭いエリアからもワンツーで崩してきて、僕らは苦しめられる。だけど今日は、僕らの左サイドの攻撃がけっこう単調だった。右サイドは何度か(ナビ・)ケイタが絡んで難しい場面を作られたけど、いつものリバプールほど難しさがなかった」と、リバプールが本調子でなかったと明かす。

 こうしたふたつの理由によって、サウサンプトンは試合をうまくコントロールできていた。それだけに、試合終盤に高速カウンターから失点したことが悔やまれる。

 吉田個人に目を向けても、安定感のある守備で最終ラインを支えた。3−4−2−1の3バック中央として5試合連続の先発出場を果たし、DFラインを統率した。リバプールの両翼のサディオ・マネやサラーがライン裏に抜けてくれば、吉田は彼らについていってブロック。ブラジル代表FWロベルト・フィルミーノがバイタルエリアでボールを受ければ、吉田は前方に飛び出して潰した。

 1−1で迎えた65分には、フィルミーノが振り向きざまにシュート。吉田が身体を投げ出して止めると、英衛星放送スカイスポーツは「スーパーブロック」と褒めた。

 一方、英メディアで物議を醸すシーンもあった。

 後半、DFラインの裏に飛び出してきたギニア代表MFナビ・ケイタに対し、吉田はペナルティエリア内で足を伸ばしてブロック。ケイタは日本代表DFの足に触れて転倒したものの、主審はノーファウルの判定を下した。「駄目だと思って(足を)引いた。危ないと思って引いた」と吉田は説明したが、微妙な判定であったことは確かだ。

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