革命進行中のバルサの社会貢献。難病の少年をVRでカンプ・ノウへ招待 (4ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 動画が撮影されてまもなく、ポルはこの世を去った。しかし、彼の名前からつけられた「ロボット・ポル」は、病床にいる子供たちや、カンプ・ノウを訪れることのできない世界中のファンのためのツールになる。

「クラブを越えた存在」というバルサのスローガンは、うぬぼれた言葉に聞こえるかもしれない。しかしバルサ関係者の大半は、本当にそう信じている。社会貢献はクラブの使命のひとつであり、イノベーション・ハブやFCバルセロナ財団の仕事にもその精神が生きている。

 バルサの理事のひとりであるマルタ・プラナは、いま取り組んでいる睡眠や栄養に関する研究が、選手だけでなく、やがて一般市民の利益になることを願っている。「可能な限りの貢献をすることがクラブの使命」と、彼女は言う。

 そしてもちろん、プロジェクトがうまくいけば、バルサを愛するファンをもっと獲得できる。
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