2019.04.05

闘将シメオネ、神通力の限界か。
A・マドリードが岐路に立っている

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 実は2012-13シーズンのリーガ優勝メンバーが、今も同じく主力のままだ。優勝の翌シーズンに移籍してきたフランス代表FWアントワーヌ・グリーズマンは結果を残している。しかし、2000万ユーロ(約26億円)というチーム内で破格の年俸を考えれば、「物足りない」という声も消えないのだ。

 もっとも、大勢のファンはシメオネ支持の姿勢を崩していない。不振に陥る中でも、練習場にはシメオネの似顔絵を描いた横断幕をいくつも掲げている。それは宗教的な信仰に近い。

 これには事情がある。

 シメオネが監督に就任する前のアトレティコは、苛烈なファンと脆弱なクラブマネジメントのせいで、信じられないほど波が激しかった。優勝争いをする一方、残留争いもした。かつてフェルナンド・トーレスがデビューした舞台も、実は2部だった。シメオネ・アトレティコは、クラブ史においてもっとも安定的な戦いをしているのだ。

 大一番となる敵地でのバルサ戦は、ターニングポイントになるだろう。シメオネは最初の15分、相手をつぶすように強度の高いプレーで押し込み、ゴールを狙うのではないか。そこで先制点を奪えれば、理想的なゲームプランとなる。

 その点で、ガーナ代表MFトーマス・パーティはキーマンになる。トーマスがバルサの攻撃を断ち切れるか。先制点を失ったら、厳しい展開になるだけに、堅牢さが欠かせない。

 0-0で試合を推移させながら、アントワーヌ・グリーズマン、アルバロ・モラタ、ジエゴ・コスタの強力な三本の矢でバルサを脅かせるか。