バルサの独自戦略が進化。「カフェインでパスの正確性を上げる」 (4ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 だが、バルサのドクターたちが選手に必要な医療面のケアを把握していると思っていても、医療を施すには選手たちを納得させなくてはならない。現代のフットボールクラブは選手への管理を強めようとしているが、選手の側はそれに抵抗する傾向がある。

 今の一流フットボール選手は、小規模なビジネスのトップのようなものだ。プレーというサービスをクラブに1日数時間提供して、対価を得ている。そのうえ、多くの選手が最新の医療やケア(今の流行はアイスバス<氷風呂>だ)を提供するトレーナーを独自に雇うようになっている。そういう選手は、自分がどんなケアを受けているかをクラブに伝えないかもしれない。

 バルサは、負傷している選手が独自にケアを受けないようにしたがっている。クラブが選手の治療について把握し、独自のケアを受けたことによるトラブルを避けるためだ。

 そのためにバルサは、世界最高クラスの性能を持つというMRI装置を導入した。これを使えば、筋肉の1ミリ単位の画像を写し出し、どこを負傷しているかを正確に特定できる。

【栄養と睡眠】

 午後のトレーニングが始まる直前、バルサのMFセルヒオ・ブスケツは、練習グラウンドに併設されているキッチンに寄って、「燃料」をチャージする。トレーニング前の「燃料」といえば、たいていフルーツジュースだ。練習が終わった後は、午前中でも午後でも、選手たちはダイニングルームに一緒に座り、その日のメインとなる食事をする。

 家に帰って食事をしたい選手には、食べ物を持たせる。選手はほとんど全員が専属シェフを雇っている。シェフはチームの栄養士と密に連絡をとり、その指示に従って選手の食事を用意する。

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