バルサの独自戦略が進化。「カフェインでパスの正確性を上げる」 (2ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 しかし、バルサの会長ジョセップ・マリア・バルトメウは「金がほしくてうちのクラブに来る選手はいない」と言う。「みんなわかっている。このクラブに来たのはフットボールを楽しめるからだと」

 ところが、バルトメウはこうもつけ加えた。

「ほしい選手がみんなバルセロナに来てくれるわけではない。いい例があるのだが、ここで言うわけにはいかない。今はほかのクラブでプレーしている、非常に重要な選手たちのことだ。うちに来てほしいと彼らに伝え、みんな、とても喜んだのだが、最後になってこう言ってきた。『サインできません。だってベンチに座ることになるでしょう?』。そういう選手はいらない」

「ときには、こんなことを言いたそうな選手もいる。『どのポジションでプレーしろと? シャビがいるのに、なぜ僕がほしいんです? メッシのポジションでプレーしろとでも? 僕には無理です』。当時は(GKに)ビクトル・バルデスがいた。(GKは)誰もバルセロナに来たがらなかった。なぜ? ベンチに座ることになるから? そこが難しいところだ」

 バルサの育成組織「ラ・マシア」にいる選手たちが10代のうちに他のクラブに行ってしまうのも、同じような理由からだ。バルトメウはため息をつく。「ときには、こんなことを言う若い選手もいる。『バルサで何をしろと言うんです? セルヒオ・ブスケツからポジションを奪えとでも? そんなことは無理です』」

【ケガ】

 1000万ユーロ(約12億5000万円)の年俸を払っている選手に2週間休まれたら、クラブとしては大変なことだ。バルサは選手のケガを予防するだけでなく、「予知」したいと考えている。バルベルデは言う。

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