CL注目の同国対決で激論。有利なのはシティかトッテナムか?

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中山 スコアほどの差はなかったと思います。ただ、スパーズは1点リードする状況で迎えた第1戦の終盤に2ゴールを追加できたのが大きかったと思います。それによって、難しいアウェーでの第2戦も無理をすることなく、慎重に戦うことができました。それに加え、国内リーグで調子を落としていたことも慎重さに拍車をかけたのではないでしょうか。

 とくに第2戦で際立っていたのが、マウリシオ・ポチェッティーノ監督の真骨頂とも言える堅いディフェンスでした。この試合、スパーズは3-4-1-2でスタートしながら、守備時はトップ下のクリスティアン・エリクセンが中盤左サイドのスペースを埋めて、実質的に5-3-2という守備的布陣で守りを固めていました。

 また、前半30分を過ぎたあたりからさらに備えを厚くして、2トップのソン・フンミンを中盤左サイドに下げ、エリクセンを右サイドに回して5-4-1という形にしました。GKウーゴ・ロリスがファインセーブを連発したこともありますが、スパーズがここまで守備を固めると、さすがのドルトムントもノーチャンスです。

小澤 たしかに第2戦でのスパーズの3バックは最終ラインを5枚にしてドルトムントにボールを持たせる狙いから採用されたものでした。前半35分時点でのボール保持率は70%対30%、シュート本数は9対1とドルトムントが圧倒していましたし、手元の集計で前半のドルトムントには5本の決定機がありました。個人的には、スパーズの守備固めが効果的だったというよりも、あれだけ圧倒した前半で得点を奪えなかったドルトムントの決定力不足に問題があったと認識しています。

 中山さんの言及どおり、スパーズは前半からサイドを攻略され、マイナスのクロスを入れられた時に中盤3枚のプレスバックが間に合わず決定機を作られるシーンが目立ちました。21分のラファエル・ゲレイロからのマイナスのクロスを受けたマルコ・ロイスが決定的なシュートを放ったシーンがその象徴的シーンでしたし、その後も右からもう一度似た形で決定機を作られました。それを見て素早くソン・フンミンを中盤に下げる采配は、さすがポチェッティーノ監督だとは思いました。

倉敷 シティはシャルケに大勝しましたね。アウェーでの第1戦が2-3の勝ち、そして第2戦はホームでなんと7-0。トータル10-2という驚きのスコアで勝ち上がりました。

中山 2点ともPKとはいえ、第1戦ではシャルケも大健闘したのですが、試合終盤に逆転負けを喫したことで、もはや勝負はつきました。第2戦は、シティの「えげつない攻撃」が発揮された格好ですが、両チームの力の差は明らかでした。

 普通に考えると、スパーズとの準々決勝も実力で上回るシティ有利と見る向きが圧倒的に多いと思います。昨年10月に国内リーグで対戦したときも、アウェーのシティがリヤド・マフレズのゴールによって0-1で勝利しています。ただ、シティ有利と言いながらも、今回の対戦に限って言えば、スパーズにも十分に可能性があるような予感もします。ポチェッティーノ監督が、シティの良さを封じることに徹したとしたら、シティもそう簡単には勝てないのではないでしょうか。

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