バルサ新プロジェクトの全貌を独占取材。「サッカーの未来」とは? (2ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 メッシとチームメイトは、データやビデオのアナリスト、医師、栄養士などでつくる目立たないチームに支えられている。バルサはスタジアムや社会福祉活動の専門家も雇っている。

 2017年、バルサは「バルセロナ・イノベーション・ハブ」をひっそりと開設した。この組織の目的は、フットボールの未来の開拓に貢献すること。スタッフはビーツのジュースからバーチャルリアリティに至るまで、あらゆることをフットボールと関連づけて研究している。

 バルサの会長ジョセップ・マリア・バルトメウはこのハブを、クラブで「最重要」なプロジェクトとして考えていると、僕に語った。「未来のアスリートは、今よりずっと能力が高くなっているだろう」と、バルトメウは言う。

 バルサは先日、カーテンの向こう側を僕にのぞかせてくれた。こんな日にバルセロナの街で刺激的な仕事に携われる人々がいるとは、世の中はなんて不公平なんだろう......。そんなふうに思うほどすばらしい天気の春の日々に、僕は監督のエルネスト・バルベルデやクラブの理事にインタビューし、イノベーション・ハブの専門家たち(彼らの名前は記事に書かない約束だ)に長い時間にわたって話を聞いた。

 僕たちは本拠地のカンプ・ノウのピッチや、併設されているアイスリンクのカフェや、クラブのメディカルセンターで話をした。スタッフは僕にすべてを話してくれたわけではないが、多くのことを教えてくれた。

 彼らはコンピューターのアルゴリズムによってフットボールに「答えを見つけることはできない」と考えているし、メッシのプレーはロボットに真似できるものではないと知っている。それでも彼らは、今のフットボールに「何か」を加えたいと考えていた。

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