鎌田大地、動けず。シント・トロイデンが
逃がした魚は大きかった

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 その後、更衣室に戻った鎌田は、試合後のベンチに座っていた時の心境を、「とくに何も考えていませんでした。とにかく悔しいという、ただそれだけです」と言って続けた。

「このチームのなかで、誰よりもプレーオフ1に行きたいと思っていた。チームのためにもそうですが、僕のサッカー人生を考えると、プレーオフ1には絶対に行きたかったです。今年はこれだけのチャンスがあったので、すごく大きなものを失った感じです」

 冨安健洋も打ちひしがれた表情を隠せなかったが、一生懸命、言葉を紡(つむ)いでくれた。

「かなりショックです。プレーオフ1とプレーオフ2とでは、かなり差があるというか......。気持ち的に落ちないようにしようとしても、どうしても落ちてしまう部分はあると思います。ここから気持ちを切り替えるのは難しいですけど、皆でやっていかないといけません」

 大一番での経験の少なさが、シント・トロイデンの動きを固くしたのだろうか。途中出場の木下康介はベンチで見ていて、「選手ひとりひとりの表情を見ていても、ゲントの選手のほうに余裕があり、いい意味でリラックスしていました。僕らのほうがちょっとナーバスになっていましたね」と述べた。

 ただ、リーグ戦という観点から見ると、違った答えが出てくる。冨安は語った。

「(敗因はシント・トロイデンの)メンタルと言うより、今日の相手がいいチームだった。難しい試合になることはわかっていました。勝ちにいったけど、結果的に勝てなかったというだけ。

 最後の3試合(で勝ち点1しか取れなかったこと)にフォーカスしがちですが、僕らは30試合を戦ってきました。今までも、勝ち点を拾った試合や勝ち点を落とした試合がありました。最後の3試合だけにフォーカスできるわけではないですが、そこでプレーオフ1に行く強いチームは勝ち切るし、勝ち点をしっかりと取る。そこが、まだまだ甘かったのかなと思います」

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