イングランドで6年半。永住権取得の吉田麻也の言葉はズシリと重い (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 試合にあたり、吉田は映像などから「ケイン対策」を練っていたという。

「毎回失点するから、どうやったら(ボールを)取れるかなぁと、今週ずっと考えていた。映像もたくさんみたし。でも、どの角度からも、どのスタイルからも点が獲れる、というのが彼の特長です」

 分析の結果、「ケインにいいボールを出させない」ことがポイントになると踏んだという。

 しかし、ケインのほうが一枚上手だった。サウサンプトンのDFヤニク・ベステルゴーの背後にうまく入り、フリーになって先制点を奪取。51分にもマークについた吉田の股を抜き、ドリブルでかわしてシュートを放った。この場面はGKのファインセーブに救われたものの、日本代表DFはケインの巧さに舌を巻いた。

「(困った表情をして)うまいですね。相手を誘っているんですよ。誘われないように、ちょっと下がっていれば、打開される。飛び込んだら、入れ替わられる。抑えるのが難しい選手だなと、つくづく思いました。

 抜かれたシーンも、(ケインへのパスは)いいボールではなかった。ロングボールがサイドに流れて、そこで自分と1対1になった。ああいう場面は、やっぱり止められるようになりたいと思いましたね。今日もまた抑えられなかったな、という悔しさは残っています」

 先制点を奪われたサウサンプトンだったが、後半から猛攻を仕掛けて逆転に成功。リーグ3位につける強豪トッテナムに2-1で競り勝ち、貴重な勝ち点3を獲得した。

 その裏では、流動性の高いトッテナムの攻撃を巧みなインターセプトでブロックし、試合終盤のパワープレーもヘッドで跳ね返し続けた吉田の力強い守備があった。吉田を軸に最終ラインが粘り強い守備を見せたからこそ、逆転勝利につながった。

 日本代表DFは、充実感を漂わせて語る。

「毎試合、楽しいですよ。プレミアリーグにいて、いつもそう思います。先週も(マンチェスター・ユナイテッド戦の)オールド・トラフォードの雰囲気がすごくよかった。今週も(サウサンプトンのホーム)スタジアムの雰囲気がすごくよくて。ファンとチームがひとつになったような感じがしました」

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