イングランドで6年半。永住権取得の吉田麻也の言葉はズシリと重い (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

「こうした環境が僕をたくましくし、成長させてくれた」
「プレミアリーグに慣れる前に結果を出せなかったら、とって代えられる厳しさがある」

 吉田の言葉は、果てしなく重い。

 加えて、2012年の加入時の契約年数は3年だった。つまり、サウサンプトンから必要とされて契約を更新していなければ、今回の永住権取得は叶わなかったことになる。そう考えると、吉田のキャリアを語るうえで、レジデントビザ取得は大きな意味を持つといっていいだろう。

 しかも、永住権の取得で将来的な可能性もグッと広がった。

 英国内のクラブなら、英労働ビザの取得条件に縛られることなく移籍が可能になる。日本代表の主将としてフル稼働している吉田に大きな影響はないかもしれないが、選択肢と可能性が増えたのは間違いない。

 さらに、ビザの更新が必要なく英国に滞在できるため、引退後のセカンドキャリアにおいても幅が広がる。

 たとえば、英国で監督やコーチとして研鑽を積むことも可能になり、それと同時進行でビジネスを手がけることもできる。生活拠点を日本に移すことになっても、2年に一度英国に戻ってくれば、レジデントビザを所持し続けることは可能だ。

 もちろん、本人が希望すれば、引退後も英国で暮らし続けることができる。レジデントビザの取得で、セカンドキャリアの道も広がったというわけだ。

 2月9日に行なわれたトッテナム戦は、そんな吉田の充実感が伝わってくる一戦だった。

 日本代表DFは、3-5-2システムのCB中央のポジションで先発した。この試合で吉田がポイントに挙げていたのが、イングランド代表FWのハリー・ケインをいかに抑えるか、だった。

 ケインはプレミアの過去3シーズンで、2度にわたり得点王に輝いた世界屈指のストライカーだ。今シーズンもアルゼンチン代表FWセルヒオ・アグエロ(マンチェスター・シティ)の18得点に次ぐ、2位タイの17得点を叩き出している。

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