イングランドで6年半。永住権取得の吉田麻也の言葉はズシリと重い

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 サウサンプトンの吉田麻也が英国の永住権を取得――。英紙『サン』のインタビューで明らかにされた。

 吉田は2012年8月、オランダ1部VVVフェンロからサウサンプトンに移籍。U-23日本代表にオーバーエイジ枠として選ばれ、4位進出を果たしたロンドン五輪後のタイミングで、オランダから英国に渡ってきた。

 強豪トッテナムを下してチームメイトと喜び合う吉田麻也 強豪トッテナムを下してチームメイトと喜び合う吉田麻也 当時の吉田は、表情に初々しさも残る24歳。英語を交えて行なった入団会見後には、「あぁ、緊張した~。背中が汗でびっしょりだよ」と語っていたが、あれから6年半の月日が流れ、今では地元記者の囲み取材やテレビインタビューにも、流暢な英語で難なく応じるようになった。

 英国の永住権取得は、最低5年間就労ビザを保持してイギリスに滞在することが条件となる。すなわち、永住権(レジデントビザ)は最低5年イングランドでプレーして初めて取得できるもので、プレミアリーグに籍を置いた外国人選手の誰もが申請できるわけではない。

 しかもこの6年半の間、吉田はサウサンプトンとの契約を2度にわたり更新した。各クラブが潤沢な資金を持つプレミアリーグは選手の入れ替えが激しく、当然のようにポジション争いも厳しい。

 そんな中、プレミアリーグに在籍した日本人選手のなかで所属クラブとの契約を更新したのは、吉田ひとりしかいないのだ。その事実からも、プレミアで生き抜くことの難しさが垣間見えるだろう。

 実際、ポジションを争ってきたライバルは、ワールドクラスの精鋭たちばかりだ。

 ベルギー代表のトビー・アルデルバイレルト(トッテナム・ホットスパー)やクロアチア代表のデヤン・ロブレン(リバプール)、オランダ代表のフィルジル・ファン・ダイク(リバプール)といった、世界屈指のCBたちとしのぎを削ってきた。ベンチを温める時期もあったが、吉田は彼らとCBのポジションを争い、そして生き残ってきたのである。

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