2019.03.08

また「やっちまった」パリSG。金満クラブがCLで味わう悲劇の連鎖

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 ところが、ラウンド16で彼らを待ち受けていたのは「カンプ・ノウの悲劇」だった。

 そこでリベンジに燃えたナセル・アル・ヘラフィ会長は、2017年夏にサッカー市場最高額の移籍金2億2200万ユーロを投じて「カンプ・ノウの悲劇」の立役者ネイマールをバルセロナから強奪。さらに、モナコから神童キリアン・ムバッペも獲得。念には念を入れて経験豊富なダニ・アウヴェスも迎え入れ、CL制覇に十分に足りる陣容を整えたのである。

 しかし、CL2連覇中のレアル・マドリーと対戦したラウンド16第1戦では、先制しながらアウェーで1-3と逆転負け。さらに悲劇は続き、第2戦の直前に肝心のネイマールが負傷してしまったことでホームでの第2戦も1-2で敗れ、2年連続でラウンド16敗退の屈辱を味わうこととなった。

 それだけに、トーマス・トゥヘルを新監督に迎え、欧州一の戦術バリエーションを装備した今シーズンへの期待は高かった。ポゼッションスタイルと、堅守からの高速カウンターを巧みに使い分けたパリの強さは本物と見られ、実際、ラウンド16第1戦ではユナイテッドに圧勝。3年ぶりのベスト8はほぼ確実と見られていた。

 そんな矢先の大失態が、今回の第2戦である。一体、2年前の失敗から何を学んだのか。そう言われても仕方ないような今回の敗戦のショックの大きさは、おそらく2年前の「カンプ・ノウの悲劇」を上回っていると言っても過言ではないだろう。

パリが失意のどん底に落ちた今回の敗戦のあとに、「愚かなクラブ」と嘲笑することは簡単だ。「金で優勝トロフィーは買えない」という常套句を、彼らに突きつけることも難しいことではないだろう。

 しかし、彼らが毎年のように積み重なっていく敗戦の歴史を背負い、また来シーズンはさらに大きな重圧のなかでCLに挑まなければならないことに変わりはない。それを考えると、ケーラーのバックパスも、ブッフォンのミスも、キンペンベのハンドリングも、過去6年続いた屈辱の歴史の重さが、そうさせてしまったように思えてならない。