また「やっちまった」パリSG。金満クラブがCLで味わう悲劇の連鎖

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 悲劇、悪夢、絶望――。

 チャンピオンズリーグ(CL)のラウンド16第2戦で、0-2のアドバンテージを手にしながら奇跡の大逆転劇をお膳立てしてしまったパリ・サンジェルマン(パリ)にとって、この敗戦を正しく表現する言葉などそう簡単には見つからないだろう。

 2019年3月6日。パルク・デ・プランスで行なわれたパリ対マンチェスター・ユナイテッド(ユナイテッド)の一戦は、誰も予想し得なかった結末を迎えた。

ベスト8進出を喜ぶユナイテッドの選手たちと、敗退が決まりピッチに倒れこむパリの選手たちベスト8進出を喜ぶユナイテッドの選手たちと、敗退が決まりピッチに倒れこむパリの選手たち CLの歴史において、アウェーで2点差以上の勝利を収めたチームが、第2戦で逆転負けを喫した例は過去にない。しかもパリには、第1戦で4点差以上の勝利を収めながら、アウェーでの第2戦で1-6の大敗を喫し、通算5-6でバルセロナにCL史上初となる大逆転劇を許した過去もある。

 2017年3月8日に起こったあの「カンプ・ノウの悲劇」を経験してから、わずか2年しか経っていないにもかかわらず、その当事者が再び同じような過ちを繰り返そうとは、一体誰が予想しただろうか。

 開始早々の2分にロメロ・ルカクの先制ゴールをプレゼントしたのは、不用意すぎるバックパスを出した右サイドバックのティロ・ケーラー。フアン・ベルナトのゴールで追いついたにもかかわらず、前半30分にルカクの2ゴール目をお膳立てしたのは、百戦錬磨のGKジャンルイジ・ブッフォンだった。

 そして8強入りを目前にしたなか、1-2で迎えた後半のアディショナルタイム、ディオゴ・ダロトの枠外ミドルシュートを腕に当ててブロックし、VAR判定の末にPKを献上したのはプレスネル・キンペンベだった。それによってマーカス・ラッシュフォードに8強進出のゴール(94分)を決められたという事実は、もう動かない。

 失点のすべては、自ら招いた失態。試合内容で圧倒しながら、ユナイテッドにベスト8の道を譲った格好だ。これでは、世界中のサッカーファンから愚かなチームと揶揄されても、ぐうの音も出ないだろう。

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